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「週休2日がベスト」なんて誰が決めた? ヤフーが挑む働き方改革(前編)

2017.01.05

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IT大手のヤフー株式会社が打ち出した「週休3日制」が話題になっている。同社は2016年10月に、東京本社を「東京ガーデンテラス紀尾井町」(東京都千代田区)に移転。そのタイミングと合わせ、全館フリーアドレス制度やオフィス以外のどんな場所でも勤務を行うことができる「どこでもオフィス」の拡大、週休3日制の検討など、積極的な働き方改革を推進している印象だ。
 
ヤフーが次々とこうした働き方の改革を打ち出す狙いは、どこにあるのか? 同社ピープル・デベロップメント戦略本部の湯川高康本部長に話を伺った。 

新オフィス移転とともに打ち出した働き方改革

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— 湯川さんが所属されておられる「ピープル・デベロップメント戦略本部」というのはあまり耳慣れない部署名ですね。これも働き方を変える新しい部署になるのでしょうか。
 
湯川:
ピープル・デベロップメント戦略本部自体は、実は何年も前から存在していました。従業員の就業体系の構築、オフィスの構築など、従業員を単なるリソースではない「人財」として考えていく部署です。加えて、デベロップメントつまり「発達」という意味合いも重視しています。
発達とはつまり、成長していくという意味です。人は死ぬまで成長を続ける。そんな風に考えています。

— 先日打ち出した週休3日制の検討が、大きな話題となっています。湯川さんの下にも、反響は届いていますか?
 
湯川:
おかげさまで多くの反響を頂戴しております。今回のような取材も含め、新オフィス移転と働き方について両方のテーマでお話をいただくことが多いですね。
 
新オフィス移転は、そもそも「働き方自体を変える」ことが大きな目的でした。
「単なる場所の移動ではつまらない」オフィスが変わると同時、働き方自体も変えていきたいと考えています。

週休3日制に関しては、現在の仕事をする中で、そもそも週休2日制を誰が最終型と決めたんだっけ? もっと効率的な働き方はあるんじゃないの? という疑問がありました。

十数年前まで、日本は週休1日でした。それが週休1.5日になり、やがて週休2日制が定着していった。都心にいると、そういう流れがあるように見えます。でも、日本全体の企業で見ると実はこの週休2日制すら50パーセントを超えたか超えていないかの定着率しかないそうです。
 
— えっ、週休2日制すらまだ半分近くの企業にしか普及していないんですか!
 
湯川:
そうなんです。週休2日制を導入したのは、松下幸之助さんの率いた松下電器産業さんです。ちょうど50年前のことでした。やっと半世紀経って普及率が50パーセントを超えた程度しかない。週休2日制を普及させることすら大変だし時間がかかっているわけです。
 
とはいえ、この10~20年でIT、AI等がどんどん発達し、世の中便利になってきたりしているわけで、21世紀の労働生産性はもっと上げられるはずです。
そうすると、なおさら週2日の休みが最終型である必要はなくなってきます。

目的は、週休3日ではなくワークライフバランスの実現

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湯川:従業員の幸せを考えた時、長い時間会社で働き続けることは幸せなのでしょうか。自分の時間、家族の時間、働く時間のトータルバランスが取れている状態が総合的な幸福度を高めるのではないかと思います。そうしたワークライフバランスを実現するには、生産性を上げること。残業ありきではなく定時勤務になるよう進めて行きたいですし、週休3日まで発展させていいのではないかと考えました。
 
— 主な目的は、ワークライフバランスの実現であり、週休3日の導入はその手段に過ぎないと。
 
湯川:
そうですね、ただしくは、週休3日制の実現をゴールにしているわけではありません。従業員一人ひとりがどうやって生産性を高めていくのか? 週休3日制よりも良い働き方があり、そのほうがより豊かな人生を送れるならそちらを選択します。この発表を通じ、世の中に対して「今の労働時間ってどうなの?」とあえて問うたところがあります。
 
— 「賃金を下げる目的では」といった邪推も一部で聞かれました。
 
湯川:
もちろん、そうした目的ではありません。賃金を下げるどころか、労働生産性が上がった結果を何がしか還元したいと思っています。会社だけおいしい思いをするのは違う。そのためには、労働時間の減少と、生産性の向上。週休3日制を導入して成功させるためには、この両立が必要不可欠だと考えています。

「残業を減らせ」ではなく「生産性を上げよう」を選んだ理由

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— 週休3日制を導入した場合、3日目の休みは金曜日になるイメージでしょうか? 

湯川:そのあたりはまだ検討中ですが、「選択肢を増やしたい」という思いがあります。例えば、育児や介護など家庭の事情で出勤日を減らして週休3日にしたいというニーズが出てくることは十分考えられます。実際に、そういう取り組みをしている企業もあるはずです。

逆に、バリバリ働きたいという方は思い切り働いてもらうというのも選択肢です。もちろん、法定休日として1日は休まないといけないので、法令違反にならない範囲でのことですが。

— 単に「残業時間をを減らせ」ではなく、「生産性を上げよう」ということですよね。

湯川:今は電車の中でも労働できる時代です。今後は、この境目がどんどん曖昧になってきていて、労働時間で測るのも難しい時代になると思います。そのため、単に残業を減らそうと言うよりも、もっと豊かな人生を送るために、生産性を上げようと伝えたほうが、従業員一人ひとりの取り組む意識は違ってくると思います。

ただ、そうは言っても生産性を測り方は思案中です。良い提案があれば教えていただきたいです(苦笑)。

例えば、エンジニアを評価するとして大量のコードを書けるエンジニアは生産性が高いと言えるのか? そうではないですよね。よりコンパクトな良いコーディングができることが「良いエンジニア」だと思います。

これは一例に過ぎなくて、実際はアウトプットの質で測ると言っても何を持って「良い」のか、千差万別です。どの企業も頭を悩ませているところだと思います。

弊社はIT企業ですので、可能な限りデータを収集して可視化を進め、最適な方法を考えていきたいですね。

— それは、貴社の川邊健太郎氏(副社長執行役員・最高執行責任者)が仰っておられた、「データドリブンで生産性を高める」(作業はなるべくAIや機械学習に任せ、人間は人間にしかできないことに集中してもらう)ことにもつながりますか?

湯川:そうですね、生産性を高めるうえで、データドリブンで考えられる余地はたくさん残っていると思います。もちろん、「隠れ残業をやって、見た目だけ生産性を上げました」ということは望んでいません。データを駆使しながら取り組んでいきたいですね。

— 週休3日制を検討するというニュースが流れた時、社内の反響はいかがでしたか?

湯川:ざわつきましたね(笑)。もちろん社内には9月に社長の宮坂から話をしていましたが、社外リリースされたことで「これは本気だな」と。発表当時、私はいろいろな拠点を回って10月に施行された新人事制度の説明をしていました。でも、社内の関心は完全にそちら(週休3日制)に向かっていました(苦笑)。
 
それぐらい、社内にもインパクトは大きかったと思います。ただ、それからの様子を見ていると手放しで喜ぶ感じではなく、「どうやって実現できるんだろう」「3日も休み必要?」「給与は減るの?」とか、様々な議論が噴出しました。

「給料変わらず休み増えて嬉しい、バンザイ」といった感じではないです。良い傾向だと思いますよ。そういう形で、シンプルなルールの中で従業員一人ひとりがどうやったら最高のパフォーマンスを上げられるか考えてもらうことで、会社は「才能を解き放つ場」として機能すると思います。

後編に続く>

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