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ラクスルを中心に47事業をおこしたプロが勧める、パラレルを超える“トリプルキャリア”のススメ

2016.08.05

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守屋実氏、47歳。

人生で言えば、折り返し地点を過ぎ、会社で重要なポジションにつきはじめる頃だろう。しかし、彼は違う。

年齢と同じ数の新規事業を立ち上げた創業のプロフェッショナルなのだ ―― 47歳、つまり47事業。あらためて信じられないが、これは真実の話だ。

その中で守屋氏が気付いた働き方がある。それは「同時に3社に関わる」という働き方。

「自分の強みにフォーカスすればその働き方はできる」と守屋氏は言うが、そもそもしっかりコミットできているのだろうか?そういう働き方は誰でもできるのか?どういう経緯でその働き方を勧めるに至ったのかなどを、守屋氏本人に伺った。

企業内起業で17、独立起業で8、週末起業で22、合計47事業を立ち上げ!

— 47の事業を立ち上げと聞いて、まず驚いたのですが。守屋さん自身についての話を伺ってもよろしいですか。

守屋:僕は今、47歳で年齢と同じ数の事業を立ち上げてきました。47という事業の数で分解すると、企業内の新規事業の17、独立して起業した企業の8、週末起業の22になります。

ただ、「全部自分でやりました」「ゼロから立ち上げました」というと、かなり盛りすぎかも知れません。

正しくは、「17個の起業に関する何かしらのプロジェクトにアサインされました」「独立後8つの会社で役員をやらせてもらっています」「プライベートでも22個の何かしらの企画に関わらせてもらってます」という感じかと(汗)。

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守屋氏の自己紹介資料より

ちなみに、その3つの数字(17、8、22)の中で言うと、17個の新規事業系のプロジェクトにかかわることが出来たのは、とても良い経験だったと思っています。

ミスミ(現 株式会社ミスミグループ本社)とエムアウトにおける20年間のサラリーマン生活でのその経験は、かなり珍しいはずだからです。

— 20年もいれば、そこに骨を埋めようとなる人がほとんどだと思いますが。そこから独立された理由はなんでしょう?

守屋:20年たった時に、ミスミ、エムアウト、両社の創業者であった田口弘さんから、「もう20年も私の元にいるんだから、そろそろ独立したらどうだ?」と言われ、予定外に独立することになってしまった、というのが理由です(笑)。

そこで、さてどうしたものかと、いろいろ思い当たる先を訪ねて回っていたのです。そうして、20年ずっと新規事業一筋できたこともあり、創業間もない2つの会社に同時に参画をさせてもらうことが出来ました。

1つはラクスル株式会社。インターネットで印刷を依頼できる会社です。最近ではテレビCMを打ったり、総額58億円の資金調達を行っています。

— ラクスル!話題のスタートアップですね!

守屋:もう1つは、ケアプロ株式会社です。指先から血を一滴いただいて、駅前などで健康診断をする会社です。我々としては、社会の役に立つ事業だと思って立ち上げたのですが、法規制の壁に阻まれ、かなりの苦労を強いられた事業でした。

— であれば、法の隙間を上手くついた感じですか?

守屋:医師法、薬事法、臨床検査技師法など5つの法律に違反している、という指導を行政からもらったこともありました。でも、そういった状況下にありつつも、何とか、月1万人ぐらいまで利用客を増やすことが出来たのです。現在では、トータルで30万人を超える方々に利用されるようになりました。そうして、法改正も実現できたわけです。

— そうした状況下で、複数の会社で働くとはどういう働き方なのでしょうか?

守屋:物理的に100%を各社に投入する働き方は出来ません。でも、新規事業に特化した働き方なので、その経験を活かすことができるのです。「その分野のプロ」という点で言えば、ある意味、弁護士のイメージに近いのかも知れません。

— 新規事業のプロと、弁護士はどう近いのでしょう?

守屋:いくつもの会社や案件にまたがって弁護の場数をこなすことで、弁護の経験が弁護士は溜まります。だからこそ、関わっている案件に対して価値が出せる、というイメージですね。その点が近いでしょう。

弁護士と違うところは、「新規事業の専門家」なんて職業は確立していないですし、生まれたばかりどころか、生まれる前段階の企業が活動の場だったりもするので、どうしても、報酬を低く抑えざる得ない状態が続いたりします。

なので、博報堂やリクルートなどの大手企業の新規事業の助っ人として、ある程度の金額を稼いで家に生活費を入れ、あとはケアプロやラクスルの立ち上げに邁進するという生活スタイルにせざるを得なかった、という感じでした。

ちなみに、その後は、ラクスルやケアプロが軌道に乗っていくなかで、更なる事業の立ち上げにも参画させてもらいました。

看護師向けのメディアの会社、ゲノム(生物の遺伝情報)の会社、難聴者向けスピーカーの会社、介護EC&展示会の会社などです。結果、ラクスルとケアプロを合わせると、今では、全部で8社になっています。

–独立起業の数字「8」の次、週末起業の数字「22」は多いですね?

守屋:これらは、もう様々です。例えば、三重県の松阪市に、行政と連携した一次救急(軽症の患者が対象)の診療所を2015年に開業しました。もちろん、自分は医者でも看護師でもないので、その中心人物がいてこそですが。

あとは、飲み会で盛り上がった勢いで「なんかやろうぜ」というノリで始まったものもありました(笑)。例えば、渋谷や表参道にバーを開いたり…。

そういうのが全部で22個ある感じです。これが、だいたい僕の全て。17+8+22=47、合ってますね(笑)。

隣の芝が青いと思ったら、自分の会社でもやればいい。複数の会社で同時で働くことのメリット。

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— 今、働き方がどんどん変わっています。終身雇用の崩壊から、あっという間に。多くの事業で様々な働き方をご覧になった立場から、この先の見えない未来でどのような働き方をするのが良いと思いますか?

守屋:頭に残りやすい3という数字にからめて、3×3×3という表現で働き方を考えています。

— ?

守屋:これまでは、30年かけて一社だけを勤め上げたけど、今は3回くらいの転職は当たり前とも言っていい。そしてこれからは、同時に3社に関わる人間が増えてもいいんじゃないかと。

もちろん、全部がそうなることはあり得ないでしょう。ですが、全体の1割、10人に一人くらいがそういった働き方をするようになって、複数の会社にかかわる自分のような働き方が、とくだん珍しくなくなるといいなと考えています。

— パラレルキャリアが流行りだしている中で、3つですか? 難しくないですか?

守屋:先ずは、自分の得意を活かすカタチで、ボランティアから初めてもイイのではないかと思います。ベンチャーは、みな人手不足で困っています。ほんのちょっとでも手伝ってくれたら、すごくラッキーなわけですよ。

副業禁止との兼ね合いでいっても、あくまでもボランティアであれば副業ではないですしね。

— 週1回からでもOKなのでしょうか?

守屋:はい。あるいは週1でなくても、20時くらいに本業の会社を上がって、23時くらいまでは副業の会社で働くとか。やりようはいくらでもあるように思います。そんなに難しい話ではなく、今の時代はインターネットがあるのだし。

— とはいえ、その時間ですと自分に返ってくる利益といいますか、経験ってありますか?

守屋:それが、あるんです。他社と比べることで、自分が勤めている大企業の魅力に気づけるかも知れないです。ベンチャーに関わっていることが楽しくなっていることに気づくかもしれない。

この気づきがあれば、「なんとなく起業したいなぁ」とか「今やだなぁ」、「なんかしなきゃなぁ」と漠然にいろいろ思っていた人が、その後の自分の身の振り方を定めることが出来ると思うんですよね。

自分が勤める大企業の魅力に気づければその仕事にそのまま打ち込めばいい。ベンチャー企業に関わって、面白いと思えば、ベンチャーに移ればいいのですから。

もし、最初のベンチャーに関わって何も感じなかったら、2つ目・3つ目・4つ目のベンチャーに関わってみればいい。僕みたいに年齢の数だけやってもいいんですよ。

一同:(笑)。

トリプルワークでお金を稼ぐには、第一想起してもらえるまで自分の強みを絞って磨いた方がいい!

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— いろいろ始めてみても、いつまで経ってもお金にならないと、テンションが下がりますよね?

守屋:多くのノマドワーカー(会社に属さず様々な場所で働く人)は受けられる仕事をやみくもに取りに行くから、結果として忙しさだけが先立つ、苦しいサイクルに入ってしまうのだと思います。最初の一歩をここから始めてしまうと、抜け出すまで苦労してしまう。

なので、オススメなのは、苦しいサイクルに入ってしまう前に、これまで勤めてきた会社で自分が身につけた技術やスキルの品ぞろえを見なおすこと。これが大事だと思います。

— 自分の技術やスキル、いざ思い出そうとしても定番しか思い付かないのですけど?

守屋:そうですね。自分が思う強みを人に話してみても、なんかありがちな言葉になってしまって、思いの他ウケない(笑)。

一同:(笑)。

守屋:なので、とにかく、いろいろ人に話しまくってみた方がイイと思います。そうしていくと、そのうち「え、そこなの?」というところに反応があったりもします(笑)。
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守屋氏の自己紹介資料より

— 守屋さんも最初は、自分の強みをうまく訴えられなかったのですか?

守屋:はい。僕のスキルの値段って最初はアルバイトレベルでした。驚くほど、お金にならない(笑)。力試し、信頼残高つくりのためのボランティア期間が永遠に続いたり。

— ショックで、コンビニバイトでイイや、と落ち込みそうですね?

守屋:でも、経験を積んでいくと、そのうちどうにかなる。というより、どうにかなるまで続けてみる(笑)。

— 続けるのは、先ほどの「反応があった強み」をいろんな人に拡散することですか?

守屋:ええ、続ける方向は、「目指せ、第一想起」です。誰かが何かに困っている時に、強みを持つ自分を最初に思い出してくれれば、チャリンとお金になります。何でもいい、どんなにニッチでもいい、自分が持つ強みを最初に頭に浮かべてもらうことが大事かと。

— 自分の強みをうまく人に通じるようになるまで、話して絞って磨いて可視化するのですね。そのための第一歩はボランティアでも良くて、まずは始めて見ることが大事と。これなら、トリプルワークを自分もできそうな気がしてきました。本日はありがとうございました!

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