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なぜ優秀な若者は宇宙に熱狂するのか? 宇宙ビジネスが熱い3つの理由

2017.02.03

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文:一般社団法人SPACETIDE 理事 佐藤将史

宇宙ビジネスって何だ?

「宇宙ビジネス」、最近よく耳にする人も多いのではないでしょうか。アメリカや日本の民間企業が国のミッションとは関係のない独自の宇宙開発をしている、企業のロケットや衛星が打ち上がった、企業が月面へ…といったニュースがここ数年でよく流れるようになりました。

そもそも「宇宙ビジネス」とは何なのか。10数年前まで、一般的に宇宙ビジネスといえば、有人の宇宙旅行を指す事がほとんどでした。しかし、近年の宇宙ビジネスはそれに止まらない、あらゆる宇宙開発・利用の産業全体を指すものとなっています。

<宇宙ビジネスの分類>
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新しい宇宙ビジネスの潮流の発信地はアメリカ、特にシリコンバレーやロサンゼルスを中心とした、カリフォルニアです。PayPalのファウンダーで現在はテスラ・モーターズも手がけるイーロン・マスク氏が、2002年に『Space X』というベンチャー企業を創業して以来、アメリカでは宇宙ベンチャーブームが起き、年間10~100社を超えるほどの宇宙ベンチャーが生まれ続けています。事業領域も、ロケットや衛星の開発、衛星データの利用、宇宙旅行、月や火星の探査等、各社それぞれ実に多様です。

宇宙産業市場の調査機関であるTauri Groupによると、2000年以降、世界の宇宙ベンチャーは合計133億ドルの投資を集めていると言われていますが、そのおよそ3分の2はここ5年間に集中しています。これからが、まさに旬の分野なのです。

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日本の宇宙ビジネス-決して他人事ではない!

日本の宇宙ビジネスもこの流れを追うように、新しい産業を形成しつつあり、2010年前後から日本発の宇宙ベンチャーがたくさん生まれています。

<新しい宇宙ビジネスに挑む日本の主なベンチャー>
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宇宙ベンチャーというとロケットや衛星などの「ものづくりに長けた技術者集団」というイメージがあるかも知れません。ドラマ「下町ロケット」の佃製作所のような企業を想像する人もいるでしょう。

もちろん佃製作所のような、ものづくりの宇宙ビジネスも存在しますが、そのような企業ばかりではありません。

例えば、他社の衛星データを使ってシステムやアプリを作るような“宇宙×IT”を主戦場にするベンチャーや、宇宙を使ったエンターテイメント事業を行うベンチャーもいます。このように、別の分野から様々なバックグラウンドの人々が集まって、新しい宇宙ビジネスのかたちを生み出しています。

これは日本の宇宙ベンチャーも同様で、これを読んでくれているあなたが宇宙ビジネスで、宇宙×○○で、活躍する場所がもしかしたらあるかもしれません。

また、前述の「Space X」は、宇宙にバックグラウンドを持たないイーロン・マスク氏が創業し、Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏も同様に、有人宇宙旅行を目指す「Blue Origin」を創設しました。

このように、宇宙に対する知識やスキルなどバックグランドがなかったとしても、宇宙事業に携わることができる、もしくは、自身がベンチャーの創設者になりえることもあるのです。

そんな、決して他人事ではない宇宙ビジネス。ここからは私たち一般社団法人SPACETIDEが、宇宙のしごとを皆さんにお勧めする3つの理由を、詳しく説明します。

■1.子どもの頃の夢がかなう

欧米の宇宙ベンチャーには、シニアであれば『スタートレック』、もう少し若い世代であれば『スターウォーズ』を見て育ち、ファンであることを公言する人たちが多くいます。日本であれば、ここに『機動戦士ガンダム』のファンも入ってくるでしょう。

「宇宙や、他の星に行く。子どもの頃に憧れた世界を、大人になった自分たちのチカラで作ることが夢なんだ」

そんなセリフを熱っぽく語る、ハーバード大学MBA出身者や元Googleエンジニアたち…それが今の宇宙ビジネスを取り巻く人々です。彼らは、それを夢ではなくビジネスとして実現するべく、ハード・ソフト技術、経営やマーケティングのスキル、ファイナンス知識、法律への対応スキル、人的ネットワーク……各人がこれまでのキャリアで培ってきた様々なものを総動員して、宇宙に挑んでいます。

2.宇宙に無縁な経歴でも、専門性・経験が生かせる

宇宙ビジネスに必要なスキルは、科学技術のスキルだけではありません。「ビジネス」のためには、経営、会計、政策、法律、広報……挙げたらキリがない程、多くのスキルが必要です。

例えば、月面探査ビジネスをするとしましょう。十分な資金を獲得するためには、顧客がいることが大切です。投資家からの資金調達も重要になります。場合によってはCM等を一緒にするスポンサー企業も大切なパートナーです。そういった人々を巻き込むためには、ベンチャー側に、ビジネスの説明に長けたMBA経験者や資金調達上手なファイナンスのエキスパート、人々に訴える魅力的なストリーミング映像や模型などを作るデザイナーやアーティストの力も不可欠です。

新しいビジネスは、既存の法規制では取り扱えないことも多々あります。そのような時は、法律や政策に詳しいメンバーが、政府と意見交換をすることも必要です。シリコンバレーのベンチャー企業は、このような多様性によってビジネスを推進しています。

宇宙ベンチャーの経営陣も、工学やIT出身の人もいれば、コンサルや金融分野からきた人など様々です。ITベンチャーだからといって、IT技術者だけで構成されているわけではないのと一緒。また、先に説明したように、宇宙ビジネスといっても事業領域は様々なので、求められる人材やスキルは、それによっても異なります。

例えば、近年の宇宙ビジネスのトレンドのひとつとして「衛星を持たない衛星ビジネス」があります。IT系のバックグラウンドを持つ企業が、政府や他の企業の衛星で撮像した画像データを集約し、AIやクラウド、ビッグデータ解析技術を使ったり、既往の地図データやドローンの撮影画像など、様々なデータと組み合わせることで、エネルギー業界や金融業、農業、水産業といった各分野のビジネス向けのビジネス・アプリケーションをつくる、といったビジネスを展開しています。

彼らの強みはデータ解析であり、衛星を自社で保有する必要はありません。このような「宇宙×他業界」に取り組むベンチャーは、アメリカで大きな注目を集めており、日本でも類似の企業が生まれ始めていて、ITやデータ関連のビジネス・スキルが大いに生きます。

このように、宇宙に無縁だった人でも、活躍できる領域があるのが宇宙ビジネスであり、手付かずで残っている可能性も多いにあるのです。

3.大航海時代を担うひとりになれる

現在、日本では政府による宇宙ビジネス関連の様々な法制度や振興施策の整備が進んでいます。それに呼応するように、この2017年からの数年間で、日本の宇宙ベンチャーのロケットや衛星の打ち上げ計画が相次いで実施される予定です。宇宙ベンチャーの企業数も増えていく中で、まさにこの業界は世界的にブレーク直前、群雄割拠の大航海時代にあると言えます。

今から20年ほど前、ITベンチャーの黎明期に飛び込んだ人々や企業が、インターネット業界の礎を築いたように、今まさに宇宙ビジネスで奮闘している人々が、新しい業界を形成し、拡大していく可能性が高い、と考えています。

そして、宇宙自体が国や地球よりも大きなスケールなこともあり、宇宙ビジネスは一般的な日本の産業分野と比べても、非常にグローバルです。先行する欧米の宇宙ビジネスは、ライバルでもありますが、同時にパートナーや顧客にもなり得る存在です。日本の宇宙ベンチャーにとって、海外の関係者とコミュニケーションを取ることは日常的なことですし、海外拠点を置いたり、外国人の社員を多く雇用したりするベンチャーも珍しくありません。
このように宇宙事業は、グローバルな大航海時代です。この時代を仲間やライバルと乗り越え、一時代を創る。今がそのチャンスの時であるといえます。

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■日本の宇宙ビジネスを体感できる日本唯一のカンファレンス、SPACETIDE 2017

これまで、日本の宇宙ベンチャーはそれぞれが精力的に活動しつつも、一同に会する場がなく、バラバラの印象がありました。一方で、欧米では宇宙ベンチャーが集まるビジネス・カンファレンスが多く存在しており、業界の方向性を決める議論をしたり、最新情報の交換をしたり、そこでの出会いが新しいビジネスパートナーシップのきっかけになったり、という場になっています。

私たちは、2015年夏にシリコンバレーで開催されたNewspace Conference 2015というカンファレンスで、日本人同士で偶然居合わせた関係でした。そこで「こういう場が日本にも必要だ!」と意気投合、そのままの勢いで、その年の秋にSPACETIDE 2015というカンファレンスを開催しました。これはベンチャーを中心とした、新しい宇宙ビジネスにフォーカスした、日本初にして唯一の、民間による宇宙ビジネス・カンファレンスでした。500名を超える聴衆の方々にご来場いただき、イベントは大成功に終わりましたが、この国における宇宙ビジネスの注目度と期待を肌で感じることができました。

<SPACETIDE 2015(第一回)の様子>
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この2017年2月28日には、慶應義塾大学の日吉キャンパスで、第2回となるSPACETIDE 2017 (参照) を開催します。第1回から1年半ほどが経ち、その間に、政府の取り組みは進み、またJAXAや大企業が宇宙ベンチャーと連携したり、他産業が宇宙ビジネスに参入するというケースも多く出てきました。今回のカンファレンスでは、日本の宇宙ビジネスが、色々な人々を巻き込みながら、いよいよ拡大しつつある現場を、皆さんにお伝えしたいと思っています。

来場した皆さんが「宇宙ビジネスをやってみたい!」という気持ちになってもらえたり、皆さんのその後のキャリアを変えるような出会いを提供できれば、SPACETIDE 2017としての最高の成果だと考えています。

前回のイベントも、早々にチケットが定数に達し、予約終了となりました。今回も既に予想を上回るペースで予約をいただいています。お早めに予約申し込みいただきますようお願します。皆さんにお会いできるのを楽しみに待っています!

SPACETIDE主催メンバー (左上から時計回りに石田(代表理事)、青木、佐藤、水島(理事) それぞれ本業は経営コンサルタント、ベンチャーキャピタリスト、弁護士と様々
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<了>

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