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テレワークが2025年には一般化!専門家に聞くテレワークが「お得」な理由(後編)

2016.12.14

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介護が必要な高齢者は増加の一途。ところが、介護人材は40万人も不足しているという現実(参考:「2025 年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について」)。その結果、介護離職は今後さらに急増すると、家田佳代子さんは指摘します。

家田さんは、20年前に介護離職し、テレワークを実践。介護離職への対策として「テレワーク」を推進し、各企業がテレワークを導入する支援も行っています。そこで、テレワーク導入に際しての課題や解決法、そしてテレワークが普及した未来の働き方についてお話を伺うインタビューの後編。

前編では、「テレワークという言葉の定義」と、「テレワーク導入の課題」のうち「システムと教育が必要な課題」についての解決法を伺いました。この後編では、「経営者の理解が必要な課題」についての解決法を伺います。

家田 佳代子(いえだ かよこ)
(株)インテリジェンス ビジネスソリューションズ(IBS)のワークスタイル変革ディレクター。自身が母親の介護のためエンジニア部門の管理職として勤めていた会社を退職後、半導体メーカーでテレワークシステムを導入。介護をしながら業務に従事。 その後、鉄道系ICカード会社にて情報セキュリティ責任者に就任。女性支援会社を設立し代表取締役社長兼CEOを務め、2014年インテリジェンス ビジネスソリューションズに入社しディレクターに着任。ワークスタイル変革事業を立ち上げ、テレワークの普及に取り組んでいる。

テレワーク導入コストは投資であると、ワークスタイル変革ディレクターは経営層に示す

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今回お話をうかがった家田佳代子さん
— 前回、テレワーク導入の課題として5つを教えていただきました。

【システムと教育が必要な課題】
・情報セキュリティ
・コミュニケーション
・労務管理
・人事評価
【経営者の理解が必要な課題】
・テレワークの導入、運用コスト

これらのうち、「情報セキュリティ」「コミュニケーション」「労務管理」「人事評価」システムや意識改革等の教育でで解決できることはわかりました。「経営者の理解が必要な課題」としてあげられている「システム導入と運用のコスト」ととはどういったものなのなのでしょうか。

家田:この課題を解決するためには、経営層に理解を得る必要があるのですが、「テレワークが必要な理由」、それに見合った投資、回収の期間を説明し、導入のメリットとして「儲かる」ということをご説明します。

ここで重要なのは、「なぜテレワークをやるのか」「何のためにテレワークをやるのか」の合意をとることで、それをやらずに検討に入ってしまうと、目的がぶれてしまい、途中で断念するという結果に陥ることが非常に多いです。

— 経営判断をするわけですから、「導入したほうが儲かる」というメリットは経営者に響きそうですね。儲かるとは具体的にどういうことでしょうか?

家田:介護など、なんらかの理由で離職した社員の穴埋めをするには、採用しなければなりません。その際、採用にかかるコストと、テレワークで継続雇用をした場合のコストを比較することが効果的です。もっとダイレクトに表現すると「テレワークでの継続雇用の方ががずっと儲かります」という言い方ですね(笑)。
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この図のように、300人を対象にテレワークのシステムを入れた場合、一人当たりのコストを比較するとテレワークによる雇用継続のほうがあきらかに儲かります。さらに言えば、左側にある中途採用は採用費だけでなく、教育するのにもお金や時間がかかります。

— 中途採用は、採用費だけでなく、その後の研修コストもかかりますもんね。

家田:そうです。そのため、経営者には採用した場合とテレワークへの投資を比較し、テレワークが得であることをお話します。さらにダメ押しでコスト削減策も説明しています。

【テレワークを導入した際のオフィスコスト削減効果】
1.テレワークの前提となるペーパーレス化でのコスト削減
※業務に必要な印刷物が多いと紙資料がない自宅で仕事ができない
2.ペーパレス化による、紙資料を入れておくオフィスの袖机の廃止
3.常に社内の誰かがテレワークすることでのオフィスの座席の削減
4.オフィスの袖机削減と座席削減によるオフィス面積縮小で、オフィス賃料削減

利益の出やすい経営体質への変化が起こります。これらのコスト削減は実際の資料では具体的な金額を盛り込んでいます。

さらに、時間と費用両面での社員の移動コストや生産性の向上もお話してメリットが大きいことを理解してもらいます。ここまでお話すれば、経営者の皆さんも納得してもらえますね。

86.7%のビジネスパーソンが直面する介護離職の可能性。介護離職対策でテレワークが普及した未来は?

— 今後、テレワークはどうなっていくとお考えですか?

家田:介護離職が増えるにあたって、テレワークの導入が各企業で急務になるはずです。

— 介護を原因とする離職が増えるのでしょうか?

家田:2016年から今後5年間で両親の介護が必要となる人は一気に増えていきます。

— 私の両親もその世代です。不安になってきました…。

家田:さらにその先、深刻な問題が発生します。介護人材の不足です。2025年には、約40万人の介護人材が不足すると厚生労働省が発表しています(参考:「2025 年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について」)。

介護人材が不足すると介護施設は増やせません。すると当然増えるのが在宅介護です。

こういう調査もあります。ある大学が従業員1000人以上の会社にアンケートをとって今後5年間で親の介護の可能性があると回答した人は、実に86.7%に達していました。
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— 86.7%も!在宅介護が必要になると、普通の働き方はできないですね?

家田:そうです。8割以上の方が普通の働き方はできなくなる可能性があります。そうなると、多くの会社が機能しなくなります。そこで在宅介護をしながら働ける在宅勤務、テレワークが対応策として浮上してきます。

— 介護離職対策としてのテレワークの導入は、経営面でも重要な課題になるというわけですね。

家田:とくに介護離職が起こりやすい40代社員が多い企業にとっては「今起こりつつある危機」といえます。テレワークの導入は、待ったなしの状態なんです。

— とても深刻ですね。86.7%の人が直面する介護離職対策をきっかけにテレワークが多くの企業で導入されていくと、ビジネスパーソンの働き方はどのように変化していくとお考えですか?

家田:社員全員がテレワークという会社が徐々に増えていくでしょうね。ワークスタイル変革ディレクターとして私が関わった会社で、社長も含めて社員全員がテレワークという会社が既にあります。

— オフィスが存在しないということでしょうか?

家田:そうです。登記簿上の本社所在地はあるんですけど、誰も会社に出る必要がないからオフィスがない。このケースがテレワークの最終形です。

— 全員がテレワークなわけですからまさに最終形態ですね(笑)。 

家田:こうした会社が今後、ベンチャー企業を中心に増えていくと私は考えています。

2030年まで視野を広げると、外国人の優秀な人材が増えることも影響するでしょう。アベノミクスの施策として、「優秀な外国人に対して日本版グリーンカード(外国人永住権)が発行される」とも言われています。そういった外国人のビジネスパーソンからすると、日本企業の今までの働き方が通用しなくなります。

— どういうことでしょうか?。

家田:外国人は、基本的な働き方の文化として、生産性をあげて早く帰宅するのが一般的。オフィスに8時間拘束して、さらに残業まである働き方は通用しません。優秀な外国人の人材は生産性あげて、会社の仕事はさっさと終える。残った時間は、別の会社へ技術や知識を切り売りして働く。そういう時代になるはずです。

そうなると、それぞれの会社に行かなくてもよいテレワークが必要になってきます。「この日の数時間だけあなたの会社に私の技術を提供しますよ、テレワークで」という働き方です。

2030年には、それが当たり前になっているんじゃないかなと思っています。

— 介護離職増加をきっかけにテレワークが普及し、外国人ビジネスパーソンの増加で時間ごとに自分の技術や知識を複数の会社で活かす、西洋的な働き方が一般化する。その基盤にあるのがテレワークというワークスタイルなのですね。とても楽しみな未来ですね!本日はありがとうございました。

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