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高校生7割が「自分はダメ」と考える社会で。チームビルディング進化論(前編)

2017.01.25

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至る所で確認される、コミュニティ間の断絶という現象。コミュニティ自体が縮小しいわゆるタコツボ化していく中で、同じ言語を用いながら必ずしもコミュニケーションが成り立たない、というケースはままあります。

そうした断絶は、チームビルディングの妨げになることは明らか。まして、若く経験の少ない世代では特にそうしたコミュニケーション不全を乗り越えることは困難でしょう。しかし、われわれはコミュニケーションなしでは経済活動はおろか生きていくこともままなりません。

そうした状況を打開するヒントは、どこにあるのでしょうか。今回は、「新しい働き方」をテーマとしたイベント『TOKYO WORK DESIGN WEEK』の中から、2016年11月19日(土)に行なわれた対談『チームビルディング進化論~新しい“チカラの合わせ方”~』の模様をご紹介します。

<登壇者>
・川辺洋平氏 モデレータ、NPO法人「こども哲学・おとな哲学 アーダコーダ」代表
・石黒和己氏 慶應義塾大学4年生、10代応援メディアNPO法人「青春基地」代表理事
・濱松誠氏 パナソニック所属、大手企業の若手社員交流組織「One JAPAN」設立者

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■断絶が進む世の中にはフラットな対話が必要

川辺 『若者離れ 電通が考える未来のためのコミュニケーション術』(参照)という本があります。この本に書いてあることは端的に言えば “断絶”の話です。世の中のコミュニティがどんどん小さくなり、いわゆる“コミュニティのタコツボ化”という現象が起こっています。こうした状況は、チームビルディングつまり「チカラの合わせ方」を考える上で大きな障害となります。

例えば、若者とそれ以外。20代と、それ以外。学生と、それ以外。そうした “コミュニティのタコツボ化”=“断絶”を踏まえると、これからのチームビルディングのキーワードは「フラットに向き合うことの価値」であるはずです。本書にも、次のような記載があります。

「本書を執筆するうえで最も気をつけたこと、それはフラットに向き合うことの価値です」

今、お話しているこのイベントでも、例えば「登壇者=何かを知っている人」「参加者=メモを取る人」といった考え方は、もう古いんじゃないかと考えています。このイベントからでも、フラットに向き合うことを始めましょう。

■本当の学びから作り上げるチームビルディング

石黒 わたしが運営している10代向けのウェブマガジン『青春基地』では、メディアを通じてProject Based Learning(PBL;プロジェクト型学習)を実践しています。『青春基地』とは、中高生たちが、自分たちの会いたい人や、行ってみたい仕事場を取材をしているメディアです。

この『青春基地』というメディアは、大きくふたつのことを目指しています。

① アクションする楽しさを、ひとりでも多くの10代に伝える。
② 中高生が、記事の企画・取材のプロセスを通じ多くを学ぶ

『青春基地』を展開するきっかけは、、中高生たちの自己評価の低さを知ったことでした。私の「これ、興味ある?」「何か趣味ある?」といった問いかけに対して、彼ら彼女たちからは「めんどくさい」「私なんてどうせ」といった、自分を卑下するような言葉が多かったんですね。さらに、「自分の将来について初めて人に話しました」と話す中高生も多く、その内容に衝撃を受けました。

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■「自分はダメな人間」高校生72.5%が回答

石黒 国立青少年教育振興機構が調査した「高校生の生活と意識に関する調査報告書」という資料によると、「自分はダメな人間だと思うことがある」と解答した高校生の割合が実に72.5%。これは、諸外国と比べても非常に高い数値です。

こういう状態を、どうにかしたいんです。

私が中高生時代に経験した「シュタイナー教育」が、その解決の手がかりになるのではと思っています。「シュタイナー教育」はドイツの教育者ルドルフ・シュタイナーが提唱した理論で、知性だけではなく子どもの心や身体、精神性をも含めた全人教育を目指しています。私が通っていた中高一貫校では、世界中に1,000校あるうちの1校として、シュタイナー教育を実践していたのです。例えば、以下のような経験をすることができます。

●授業時間を2カ月費やし、卒業演劇を準備し演者の気持ちになる。
●一枚の板から、鍛金という方法で芸術作品を造り上げる。

シュタイナー教育では、表面的な体験ではなく、物事の中に入り込む経験を多く積むことができます。はじめは何も知らない世界であっても、行って直接手で触れてみることによって、いろいろなことに気づくことができます。自分の想像を超える辛さ、喜びを知ったり、思いがけないところで自分の興味関心を発見したり。自分の興味のアンテナが、急に着火するような経験でした。

シュタイナー教育で私が体験してきた「動く」「行ってみる」「触れてみる」を実践したものが、『青春基地』なんです。先生の話を聞くだけ、正解を追いかけるだけの学校の授業とは違います。好奇心のままに動き、驚き、発見し、失敗を繰り返しながら自分の中に経験を溜めていく。これこそが、本当の学びだと思います。

青春基地のスタッフは、全員が学生です。「できなくても。みんなでやってみよう」と一歩踏み出すことに能力の差は関係ないですよね。楽しいはずの青春の日々を、みんなで共有するにはどうしたらいいか。そう考えて、チームづくりに取り組んでいます。「チカラの合わせ方=チームビルディング」は、実際に動いて、みんなで一緒に学ぶことで育まれるものだと考えています。

<後編へ続く>

■登壇者プロフィール

川辺洋平(モデレーター)
1983年生まれ、神奈川県逗子市在住。幼稚園児から高齢者まで幅広い年齢を対象に、哲学的な問いについて話し、考えを深める時間を提供する「NPO法人こども哲学・おとな哲学 アーダコーダ」代表。株式会社アール代表兼クリエイティブ・ディレクターとして、またイラストレーターとして個人によるアートワークも行っている。
石黒和己
1994年愛知県生まれ。NPO法人青春基地・代表理事、慶應義塾大学総合政策学部4年に在学中。10代向けのウェブマガジン青春基地(http://seishun.style) を運営。高校時代から日本の学校教育に関心を持ち、中高生向け施設「文京区青少年プラザ(通称b-lab)」の立ち上げ・運営に携わる。学生自身の意欲や、アクションから学ぶProject Based Learning(PBL)に関する教育事業を手がけてきた。
濱松 誠
1982年京都府生まれ。パナソニック株式会社/One JAPAN共同発起人・代表。部門を越えた有志団体One Panasonicを立ち上げ、2千人を超える若手が参画する組織に。2016年には大手企業約30社の20~30代で構成されるOne JAPANを設立、代表に就任。イノベーションや未来の働き方について研鑽をはかり、提言や実践的な事業モデルの確立を目指す。

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