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「染まらない人」がパワーを生む。チームビルディング進化論(後編)

2017.01.25

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「チームビルディング進化論~新しい“チカラの合わせ方”~」と題して、新しい時代のチームビルディングをテーマに行なわれた対談の模様をお伝えするルポの後編です。

「そこかしこに断絶が見られる時代だからこそ、フラットな対話が必要だ」とする川辺洋平さん(の問題提起から始まった前編。川辺さんの話をうけた石黒和己さんからは「みんなで実際に行動し、みんなで学ぶことの大切さ」が強調されました。後編では、大企業に勤めながらも大企業に染まらないでいる人たちのパワーに注目している濱松誠さん(パナソニック株式会社/One JAPAN共同発起人代表)のお話と、質疑応答をお伝えします。

<登壇者>
・川辺洋平氏 モデレータ、NPO法人「こども哲学・おとな哲学 アーダコーダ」代表
・石黒和己氏 慶應義塾大学4年生、10代応援メディアNPO法人「青春基地」代表理事
・濱松誠氏 パナソニック所属、大手企業の若手社員交流組織「One JAPAN」設立者

■「染まらない人」のネットワークが、企業や社会を変えていく

パナソニックという大企業の人事部に所属して濱松さんが感じたのは、つながりの大切さでした。2012年、部門を越えた全社一体化を目指す社内の若手有志による交流団体『One Panasonic』を立ち上げたのも、こうした思いからだったそうです。

濱松 「あの部門とこの部門は仲が悪い。うちの会社って縦割りだよね」――こういう発言、大企業に勤めている人なら心当たりがあるのではないでしょうか? その時に感じた違和感が、僕の出発点です。自らハブになり、人と人、組織と組織とをつなぐために動き出しました。イノベーター、インフルエンサーとして次のようなことを行なっています。

1.興味を喚起する、モチベートする役割
2.人や価値をコネクトする
3.仲間を巻き込んで、新しいことに取り組む
4.社内外に広く発信する

しかし、これらを大企業でやるのは大変です。私が勤めているパナソニックグループは、売上高が7.5兆円規模。これだけの組織をつなげて有機的に機能させるためには、タテ・ヨコ・ナナメの関係を構築するハブが必要だと考えました。そうして作ったのが、パナソニック社内の若手交流団体『One Panasonic』です。

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『One Panasonic』は、次のミッションを掲げて活動しています。

1.志・モチベーションの向上
2.知識・見識の拡大
3.組織・年代・国籍を超えた人的ネットワークの構築

でも、One Panasonicで社内の話ばっかりしても「社外とつながってないなら、結局それもタコツボじゃないか」と言われます。そこで、大企業や外資系企業、ベンチャー、NPO、行政、あるいはアカデミックな教育機関などともつながるために、『One JAPAN』を立ち上げました。One Panasonicが掲げる3つのミッションと実践をそのまま社外に拡張したのが『One JAPAN』です。

大きな組織に属する20代、30代に求められるのは、企業に属しながらも組織に染まらず、組織を変えていくチカラだと思います。大企業にいる自分に違和感を持つ若手の皆さんは、とにかく染まらないでほしい。環境を自ら変えるほうが、やりがいもあるし楽しいですよ。

「染まらない人」のネットワークが、企業や社会を変えていく。僕はそう信じています。つながりが、力を生みます。チームが、個人のパワーをさらに強くしていくんです。ただ、若手が何かやろうとしても、大企業ではミドルマネジメント層に潰されがち(笑)。だから『One JAPAN』はまず、20代や30代で固めました。次は、ミドルのキーパーソンの方々を巻き込んでいきます。20代や30代の『One JAPAN』のメンバーが5~10年後、意思決定ができるようになった時に時代を拓く予備軍として機能するチームビルディングを今、実践しているところです。
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■質疑応答

――コミュニティのハブになるというお話の中で、所属する組織が異なる「染まらない人たち」とコンセンサスを取ったり関係を築いていく際、チームビルディングで意識していることを教えてください。

濱松 工夫している点は、「ビジョンを共有すること」と「メリットを提示してあげること」です。

メリットを提示するというのは、「お互いに組んだら売上が上がりますよ」ってことです。ただ、うまく進まなくなるポイントがいくつかあって、「部長同士で対話ができない」とか「実務部隊に話が下りてなくて動かない」とか。そういったポイントすべてに私たちが介在するわけではありません。やってくれそうな人や仲間となる人を紹介してあげるという、間接的な形で関与するやり方があります。

――石黒さんと濱松さんにお聞きしたいんですが、青春基地とOne JAPANではチームをどのように作られて、どのように目標や成果に向かって動いていらっしゃるんでしょうか?

濱松 現実を変えるためにはOne PanasonicとかOne JAPANというやり方しか、僕は思いつかなかったんです。チーム作りの方法は、ビジョンを語り、対話をして仲間を巻き込みながらやり続けるしかないと思います。リーダーシップは、ビジョンを語り、共感してもらう。常に仲間を巻き込んで継続していく。これに尽きると思います。

石黒 目標や成果に向うにはリーダーシップには2つあるなと思っています。1つは役割としてのリーダーシップ。もう1つは、チームの中で、みんなの脳みそを繋げ合って共有するスタンスだと思うんですよね。実はそのスタンスの方ががすごく大事だなと思っています。

■まとめ

モデレーターの川辺さんが「フラットな対話」を呼びかけた効果もあってか、単なる講演会、受け身の聴衆ではなく、フラットな立場で議論が進みました。ディスカッションの締めくくり、登壇者であるお三方は、オーディエンスに向かってこんなことを語りかけます。

川辺 今日はいち参加者として話を聞いていました。私がやっている哲学対話(フラットな質疑応答)も、人によって考え方が違っています。答えはひとつじゃないんです。

石黒 ここにいる皆さんが感じている、違和感のようなものをつなぎ合わせれば、それぞれが自立しながらも関係し合う充実した社会をつくることができると思っています。色々な場所で違和感を軸にしつつ繋がると面白くなるんじゃないかなと思います。

濱松 今日の話を聞いた方は、組織に染まらないで苦しんでいる人が周りにいたら手を差し伸べてみてください。あるいは面白い人がいたら、その人ともっと面白い世界をつくりましょう。このふたつをやってほしいです。

違う考え方。違和感。組織に染まらない人。これら3つさえも結び付けることが、これからのチームビルディングなのでしょう。ルポの前編で川辺さんがおっしゃった「フラットな対話」で3つを結びつけられれば、チームビルディングの進化がいよいよ始まるといえそうです。

<了>

■登壇者プロフィール

川辺洋平(モデレーター)
1983年生まれ、神奈川県逗子市在住。幼稚園児から高齢者まで幅広い年齢を対象に、哲学的な問いについて話し、考えを深める時間を提供する「NPO法人こども哲学・おとな哲学 アーダコーダ」代表。株式会社アール代表兼クリエイティブ・ディレクターとして、またイラストレーターとして個人によるアートワークも行っている。
石黒和己
1994年愛知県生まれ。NPO法人青春基地・代表理事、慶應義塾大学総合政策学部4年に在学中。10代向けのウェブマガジン青春基地(http://seishun.style) を運営。高校時代から日本の学校教育に関心を持ち、中高生向け施設「文京区青少年プラザ(通称b-lab)」の立ち上げ・運営に携わる。学生自身の意欲や、アクションから学ぶProject Based Learning(PBL)に関する教育事業を手がけてきた。
濱松 誠
1982年京都府生まれ。パナソニック株式会社/One JAPAN共同発起人・代表。部門を越えた有志団体One Panasonicを立ち上げ、2千人を超える若手が参画する組織に。2016年には大手企業約30社の20~30代で構成されるOne JAPANを設立、代表に就任。イノベーションや未来の働き方について研鑽をはかり、提言や実践的な事業モデルの確立を目指す。

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