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社会保険の適用拡大で収入が減る!?「106万円の壁」を乗り越えるために主婦が考えるべき事

2016.09.28

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マスコミをにぎわせている「社会保険の適用範囲拡大」。年収を意識しながらパート勤務をしている主婦にとっては深刻な問題です。社会保険の適用範囲拡大で2016年10月から問題になる「106万円の壁」(保険料の負担が必要となる)について再確認したうえで、今後のパート市場への影響と、うまく乗り越える術について考えてみましょう。

パート女性が新たに直面する「106万円の壁」は25万人に影響

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これまでも、いわゆる「130万円の壁」は、パート女性にとって悩みの種でした。

夫が会社員や公務員の場合、妻の年収が130万円までならば、年金や健康保険の被扶養者に妻はなるので保険料負担の必要はナシ。逆に年収130万円を超えると、年金や健康保険の保険料を自分自身で支払わなければなりません。これが「130万円の壁」でした。

ところが2016年10月から、この「130万円の壁」の前に、「106万円の壁」の問題が生じます。原因は、パートなどの短時間労働者の社会保険の適用拡大。これにより、下記4つの条件を満たし勤務をしている「年収106万円」以上の妻は、自ら社会保険に加入する義務が生じます。
条件に該当するのは、会社員や公務員の妻が、 ・週20時間以上勤務 ・月収88,000円以上(年収106万円以上) ・勤務期間1年以上 ・勤務先の従業員が501人以上

この結果、妻の年収が106万円の場合は10月以降、現在ゼロの保険料が年あたり約15万円かかり、手取りは大幅に減少してしまいます(東京都の協会けんぽ加入時)。
これら4つの条件すべてを満たす対象者は全国で約25万人の見込み。ですが政府は、今後も更に適用範囲を拡大する予定です。今回は条件に該当しない主婦でも他人事だからと安穏としてはいられません。

社会保険の適用拡大で人手不足は更に深刻に!

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では10月以降のパート市場はどのような影響を受けるのでしょうか。働く主婦たちの本音が分かるアンケート調査結果を見てみましょう。

(株)リクルートジョブズの「主婦の就業に関する1万人調査」によれば、子どものいる主婦(20~49歳)の場合、「理想は週4日、1日5時間程度の勤務」が最多という結果が出ています。仮に時給が上がっても大幅に勤務時間を増やすことは考えにくい実態です。(参照:http://www.recruitjobs.co.jp/info/pdf/pr201410281151.pdf

同様にイオンリテール(株)も2014年11月、パート従業員として働く約5万人のを対象に制度改正の意識調査を実施しました。回答結果によれば、2016年10月以降の社会保険加入希望者は4割で、6割は希望しないのこと。

また(株)アイデムが実施した「パートタイマー白書2016」(回答者数1,671人)によれば、現在のパート・アルバイトの年収は「103万円以下( 61.2%)」「103 万超~130 万円未満( 20.8%)」。130 万円未満が実に8 割を超えています。103万円・130万円の壁を乗り超えまいと勤務時間を自己抑制する傾向が見られ、これは主婦たちの就労調整意向の現れといってよいでしょう。おり、主婦たちの強い就労調整意向がうかがえます。(参照:https://apj.aidem.co.jp/upload/chousa_data_pdf/294/2016hakusyo1.pdf

これらの調査から判断すると、10月からの「106万円の壁」に直面した時に、「130万円の壁」をこれまで意識してきたパート労働者は106万円以内で年収を収めるため就労調整を行い、自らの労働時間を抑制することが予想されます

労働時間が抑制された結果、必然的に生じるのは人手不足の深刻化。人手不足を避けるために企業は、時給を引き上げて労働力を確保しようとします。

しかし「106万円の壁」がある主婦たちとしては、時給が上がったからといって労働時間を増やすわけにはいきません。この結果、10月以降、人手不足→時給上昇→さらなる勤務時間の削減→労働力不足の深刻化、といった連鎖反応が生じることが考えられます。

問題解決に向けて企業は正社員登用を強化。政府は配偶者控除の廃止?!

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2016年10月以降に予想される人手不足。企業も手をこまねいているわけではありません。パート比率の高い企業であればなおさらのことです。

こうした状況に対し、次の2つの動きが見られます。

1)【企業の対応】正社員への登用など

人材不足感が強い業界では既に、パートを積極的に正社員に登用する動きがみられます。ユニクロ、IKEA、スターバックスなど日本を代表するチェーン店でも、正社員化の波が広がっています。総務省の発表によれば、2015年には正社員の数が8年ぶりに増加。前年比26万人増の3,304万人となりました(2015年労働力調査による)。

ただし上記「パートタイマー白書2016」によれば、パート・アルバイトとして働いている女性に、現在もしくは将来的に正社員で働きたいと思うか尋ねたところ、「働きたい」が43.5%、「働きたくない」が56.5%となっています。きっかけがあっても、すべての女性が正社員の職を望むわけではない実態がうかがえます。「パートタイマー白書」では正社員を望まない理由として、正社員になることで生じる時間の制約や、責任の増大、税・社会保険の負担を懸念する意見が挙げられています。

2)【政府の対応】配偶者控除自体の廃止と、夫婦控除の新設

専業主婦やパートの妻がいる世帯の所得税と個人住民税を軽くする「配偶者控除」を廃止する検討を政府は進めています。「配偶者控除」の廃止について政府は、女性の社会進出を促進し働く女性との不公平感をなくすため、としています。配偶者控除があるために、「130万円の壁」「106万円の壁」が立ちはだかり、女性が働くことをセーブしている…という考えからです。
「配偶者控除」廃止の代わりに浮上しているのが「夫婦控除」の創設。配偶者の収入や働き方にかかわらず一定額を世帯主の所得から差し引くのが「夫婦控除」です。「夫婦控除」は共働き世帯にももちろん適用。2016年9月から政府は本格的な議論に入っています。

早ければ2018年1月から導入される予定です。

「労働時間増」×「スキルアップ」で106万円の壁を乗り切る!

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2016年10月からの社会保険の適用拡大は、「『106万円の壁』を意識した年収で満足する」か「働きがいや収入増を目指して積極的に働くか」の二者択一をパート女性たちに問う機会ともいえます。
合わせて今後予定される配偶者控除の廃止は、これまでのような専業主婦やパート主婦に対する税の優遇がなくなる点で、女性の働き方自体に大きな変化をもたらすものとなります。
このようなターニングポイントに立っている女性たち。新局面を切り開くための働き方としては、次の2つの方向性が考えられます。

1)年収160万円以上をめざすー「労働時間を増やす」

ライフネット生命保険(株)が、パート主婦1,000名を対象として、2016年10月以降の働き方について尋ねたところ、「手取り年収が増えるように働きたい」が52.7%で半数以上となりました。また、この改正の影響を直接的に受ける、現在の年収が106万円以上130万円未満のパート主婦層では、「手取り年収が増えるように働きたい」が64.0%と、より割合が高い結果となっています。(参照:http://www.lifenet-seimei.co.jp/newsrelease/2015/6137.html#anchor2

このように、パート主婦が「年収の壁」を意識した働き方を見直すきざしも見えています。目指すのは、「手取りが増加に向かう働き方」。具体的には「働いても手取りが減少し報われない『働き損ゾーン』を超える働き方」である年収160万円を超えた働き方です。

一般的に「年収160万円」を超えると、負担による目減り分を超えて手取りが増えていきます。つまり、厚生年金や健康保険の保険料を自分自身で払っても、世帯収入が減らないラインが年収160万円なのです。今すぐしっかり働けるという人は、年収106万円という壁にとらわれず、160万円を目安として働くのが合理的といえるでしょう。

2)キャリアアップをめざすー「時給アップにつなげる」

ですが、フルタイムの労働に急に近づけるのは難しいという家庭も多いでしょう。その場合、配偶者控除がなくなる時期(早くて2018年1月)までに、自分のライフスタイルにあった職場や仕事を徹底的に探すのも一案です。

言い換えるとこれは、配偶者控除が利用できる2018年1月までの期間を「猶予期間」と割り切り、目先の収入を増やすより、長期的なキャリアアップにつながる道を考える選択です。資格をとったり、仕事に必要な勉強に打ち込んだりするなど、自己投資して力を蓄える期間とみなすのです。

働く時間をがむしゃらに増やすのではなく、このように「時給アップの方法を考える」ことも賢明な選択といえるでしょう。

自分の得意分野を伸ばすのが106万円の壁を乗り切るコツ

人によっては、家事や育児、介護等で、時間を拘束される仕事に就く事が困難な場面もあります。政府や企業の対策も現在は過渡期です。これから次々と変わっていくことが予想されます。どう変わっても右往左往しないよう、自分の得意分野に磨きをかけておくことが大事と言えるでしょう。

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