塩谷舞さん

「私はクズだなって思うけど、それでも出来る仕事もある」永遠の“一発屋”を目指す塩谷舞(しおたん)を追う

2015.12.14

塩谷舞さん

フリーのPR・編集者として様々なメディアで活躍されている、「しおたん」こと塩谷舞(しおたに まい)さんのインタビュー後編。

前編では塩谷さんの学生時代から独立に至るまでの過程について伺ってきました。後編では、BAKEが運営する『THE BAKE MAGAZINE』の編集長を引き受けることになった理由、週2で出勤されることによるメリット、そして今後の活動について伺いました!

前編:突き動かすモチベーションは“現状に対する疑問”。塩谷舞(しおたん)のアタマの中を覗く
※掲載内容は2015年6月時のものです。

お菓子屋さんのメディアで“マグロ”の記事?『THE BAKE MAGAZINE』編集長の実態

—『THE BAKE MAGAZINE』の編集長という仕事を引き受けることにした理由は何でしょうか?

塩谷:これまでクライアントワークを多く経験してきましたが、自分たちのサービスを広めるメーカーの「広報」ということにも、魅力を感じました。

BAKEに行って話を聞いて、すごくやり甲斐のある仕事だと思ったので、比べる間も無く即決していました。でも、周囲からは「え、なんでお菓子屋さんなの?」と、ちょっと残念そうに言われたんですよ。名のあるクリエイティブプロダクションに行く方が、「クリエイター」としては花形ルートだったのかもしれないです。

でも、BAKEはただのお菓子屋さんではなくて、スタートアップの情熱やマインドを持ったお菓子屋さんなんです。彼らの「デザインやテクノロジーの力でいかに古い業界を変えていくか」という視点は、私が美大の時からやってきたことにシンクロするし、「製菓業界や農業の仕組みを変えていきたい」という大きな使命感を持っていることにも惚れこみました。

そしてTHE BAKE MAGAZINEの編集長になって、そこで情報を発信をしていくうちに「BAKEって面白いね!」と広告業界やスタートアップ業界の先輩方が言ってくださるようになって……。そりゃあもう嬉しいですよね。私自身、BAKEで働くことによって、メーカーとして製品を届けるしごとの大変さとか、原材料を生み出す農家さんのこととか、すごく視野が広がっていく感覚があるんです。

BAKEのことをたくさん発信しているから、正社員だと思われることも多いのですが、実は週2回だけ勤務して、編集長をさせてもらっています。成長スピードが年3倍の会社だからネタには尽きなくて、あれもこれもと伝えていると、タイムラインがBAKE一色なるんですけど(笑)。

—オウンドメディアの編集長ということで、日々PV(ページビュー)などの数値は追われていますか?

塩谷舞さん

塩谷:『THE BAKE MAGAZINE』の場合はB to Bで本当に届けたい人に「BAKEってこういう会社です」ということを伝えていく媒体なん
です。数字を追いかけて本質から逸れては価値が薄れてしまいますし、数字はそこまで気にしてないですね。と言いつつ、一応は目標PVと実際のPV を計測してはいますが。

それよりも、記事が出たときのリアルタイムの初速だったり、流入経路だったり、記事ごとの滞在時間の長さをチェックしてます。面白い記事なのにアクセスが伸びなければ、サムネイルや切り口を変えて紹介したり。

そしてBAKEの紹介ばかりしていても読者の方には耳タコになってしまう。だから過去には“こんな記事”を書いていたり。

【編集者注】
塩谷さんが“こんな記事”と呼ぶのは、『THE BAKE MAGAZINE』の記事の中で、秀逸なPRの例としてお菓子とは全く関係のない「マグロ」のネタについて紹介したという、大反響のこちらの記事のことです。
『THE BAKE MAGAZINE』固定概念を、ぶっ壊す。インターネットを味方につけたPR戦法とは?

固定概念を、ぶっ壊す。インターネットを味方につけたPR戦法とは?

—普通はお菓子屋さんのメディアで「マグロ」の紹介記事は書かないと思うんですが…。

塩谷:これは「大学」という大きな組織でセンセーショナルな取り組みをされている近畿大学さんの在り方が、BAKEのアイデンティティーにも近いと思って、僭越ながら記事にさせていただきました。

それにBAKEが当時まだ出店していない関西方面の方に「変わったお菓子屋さんがある」と認知していただいたのも良かったですし、何より近畿大学のステキな方々と仲良くなれました!(※その後2015年8月に、BAKE大阪店がオープン)

一見BAKEの利益に直結しなさそうに見えても、ぐるっと回ってどこかで繋がると思っています。企業広報としてバランスを保ちつつも、このように枠組みを広げながらやらせてもらっています。

「半分中、半分外」フルコミットではないことが相乗効果を生む

塩谷舞さん

—実際のところ、週2でオウンドメディアの編集長をされていて手応えはいかがですか?

塩谷:もちろん時間的には、フルコミットした方がもっとスケール出来るとは思います。でも“フルコミットの状態じゃない”のが逆に良いこともあったりします。

自社のメディアを使って社内の人が宣伝をするって当たり前じゃないですか。でも私の場合は完全なる「中の人」ではないので、外の仕事をしつつ、自然と「BAKEってすごいな!」って感動して、素直に書けるんです。“半分中、半分外”という感じですね。

月曜と木曜に出勤して、社内のあらゆる部署にインタビューをしたり、店舗に立たせてもらったり。そうすると日に日にBAKE愛が増してきて。他のお仕事で取材に行くときも「BAKEが美味しいんですよ〜」って、チーズタルトとかを配りまくっています。いや、ホントに美味しいんですよ…。

この記事とか、写真の片隅にチーズタルトが写り込んでいるので探してみてください(笑)。

もちろんBAKEがすごく融通を効かせてくれる会社だから、良い関係で働けるというのは大きいと思うのですが。「週2でオウンドメディアのライターを放し飼いにしてみる」っていうのは案外良いかも知れないです。

—なるほど。ではその「週に2日」のタイミングで会社の方と打ち合わせなどを行われているんですか?

塩谷舞さん

塩谷:他の日に予定があれば動かしてもらったり、結構フレキシブルですが、週に最低2回は必ず通ってますね。

私は大学のときに一度休学してフリーランスのような状態になったことがあるんです。でも定期的に行くところがないとすごく生活が乱れてしまうんですよね。「通う場所がない生活」だと、どんどん悪循環に陥ってしまって。やっぱり週に2回でも、朝起きて決まった場所に行くと、リズムが乱れないので良いですね。

長所?短所?永遠の“一発屋”を目指す

—今後、塩谷さんのような働き方を目指す方も徐々に増えるかと思うのですが、ご自身ではどのようにお考えですか?

塩谷:あまり見習えるものではないのですが、私はよく言えば好奇心旺盛、悪く言えば注意力散漫すぎるので、決まった仕事は超苦手なんです。周りはもちろん、自分でもショックを受けるほどに…。細やかなサービスの運用を任せてもらっても、2日で発狂してしまう。「もうだめだー!!!」って。

細やかな仕事が、人一倍出来ない。一緒に働いた方ならよくご存知だと思うのですが、極端に整理整頓能力が低いんです…。あと、朝にも弱いし……。「どうして出来ないんだろう…人間のクズだ…消えたい……」って落ち込みまくって何度も改善を意思表明するんですけど、2日も経たずにやっぱり、ミスするんです。

でも一方で特技もあるし、曲げたくない信念もあるし、そっちなら社会に貢献できる。だからフリーになるときに私は永遠に “一発屋”でいいんじゃないか、と、思ったんです。狙って当てにいくことは大好きですし、どんどんアイデアも湧いてきます。幸い、今のところはまだ当て続けられると信じているので……的を変え技を変えて、二発、三発、と当て続けたい。

明確な目標がないからこそ、小回りが利く

塩谷舞さん

—それでは最後に今後の活動について伺いたいと思います。何年後はこうなりたいとか、目標などはありますか?

塩谷:ごめんなさい。具体的にはないんです!「人間拡声器になりたい」とは常々言っているのですが。

逆説的に言えば、目標を決めてしまうと、それにこだわり過ぎて小回りが利かなくなってしまう。フリーマガジン作っていた学生時代に「日本一のアート雑誌を作る編集者になるぞ!」と誓ってしまったら、業界や形式に捉われてしまって、今ここにはいないと思います。

私の弱点でもありますが、一方で強みでもあるのが “小回りが利く”ことだと思っています。

—それは、ある意味で“小回りが利く”ようにするためにもフリーになったというところもあるのでしょうか?

塩谷:それはありますね。SNSでの発信も、自分で全ての責任を持てばいい。守るものが少ない状況は、私にはすごく向いています。

そしてPRとか編集とか名乗っていますが、どんな肩書きで働くかはどうでもいいんです。それよりも、自分の信念を持って生きている人や、ヤバいものを作っている人、エネルギーを持っている場所をこれからも追いかけて、この世に広め続けていきたいと思っています。

—これからのご活躍も楽しみにしています。本日はありがとうございました!

参考:THE BAKE MAGAZINE

前編:突き動かすモチベーションは“現状に対する疑問”。塩谷舞(しおたん)のアタマの中を覗く

※掲載内容は2015年6月時のものです。

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