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夫婦で瀬戸内海の離島に移住!実践者が語るリモートワークが私たちに与える影響とは?

2016.09.08

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近年、テクノロジーの進化やネット環境の充実によって、働き方の多様化が進んでいます。「リモートワーク」は、そんな現代を象徴する働き方のひとつ。

リモートワークとは、チャットやビデオ通話などのネットのコミュニケーションツールを使い、在宅で会社員として働き続けること。移住など、プライベートの変化があってもオフィスに通わず働き続けることができる方法として注目を集めています。

今回はそんなリモートワークの現状を知るべく、愛媛県の大三島に夫婦で移住し、リモートワークを実現した徳見理絵さんにお話を伺いました。

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▲大三島は、愛媛県今治市と広島県尾道市を繋ぐ「しまなみ海道」の途中にある離島。大三島の山からは、瀬戸内海に広がる島々を見渡せる。

徳見さんご夫妻は、どのようにリモートワークを実現したのでしょう?また、リモートワークは、働く人や会社にとって、どのような影響を与えるのでしょうか?リモートワークを実現したプロセスと現状を伺いながら、リモートワークが私たちに与える影響をひも解きます!

夫婦の人生設計を実現するために働き方を変える

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▲徳見さんご夫妻。移住前に今治の展望台から撮影。

まずは簡単に、徳見さんのプロフィールをご紹介します。
徳見理絵さんは、大阪に本社を構えるシナジーマーケティング株式会社のWebデザイナー。Web制作に関わり、移住するまではコミュニケーションデザインという分野の研究者として活躍されていました。ご主人は、同じくシナジーマーケティングのエンジニア。インキュベーション室というグループで、新規事業立ち上げのためのプロトタイプ開発に携わっています。

デザイナー・エンジニアとしてWebに深く関わるお二人は、ある日仕事や研究で学んだ知識を自分たちの人生設計にも応用してみよう、という発想に行き着いたとのこと。

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▲今回の取材に応えていただいた徳見理絵さん。現在のご自宅の前にて。

Webデザインのコンセプト設計的な考え方から自分たちの生き方を考えていったところ、
『生活の知恵と文化を学び繋ぎたい』という夫婦のコンセプトが生まれたそうです。そして、このコンセプトが、お二人をリモートワークへと導くきっかけとなりました。

「何から学び、繋いでいくのかというところで、親や祖父母が受け継いできたものをもっと大切にするべきなのではないかという発想に行き着きました。自分たちの先祖が受け継いできた土地や人との繋がりを自分たちも引き継ぎ、そこからスタートする。そのために、主人の祖父母が暮らす愛媛県の大三島に移住することを決意したんです」。

祖父母から土地や人脈などを受け継ぎ、その場所から生活の文化と知恵を学び繋いでいく。そんな目標を掲げ、移住を決めたお二人は、移住後の働き方について考えはじめます。

現職に愛情をもって取り組んでいたお二人には、今の仕事を続けたいという想いがありました。そのため、転職や独立よりも今の仕事のまま移住できる方法を模索したといいます。

そこで行き着いたのが、リモートワークという働き方です。しかし、お二人が所属するシナジーマーケティングでは、完全なリモートワークの前例はそれまでありませんでした。
前例のない環境の中、お二人はどのようにリモートワークを認めてもらえるようになっていったのでしょうか?

お試し期間と部署異動を経て手にしたリモートワーク

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夫婦の人生設計を考え「祖父母が繋いできた『生活の知恵』や『地域の慣習』を引き継ぐ」という目的で移住を決意した徳見さんご夫妻。会社での仕事を続けながら移住を実現するために、「リモートワークに挑戦したい」と会社に相談しました。会社側は、お二人の意向を受け入れたものの、リモートワークははじめての試み。業務に支障がでないかどうかなどを確認する必要がありました。そのために、お試し期間を設けて、実現可能かどうかを確認することになったのです。

最初にリモートワークを試していったのはご主人でした。
「主人のグループが東京と大阪で分かれていて、元々リモートでコミュニケーションをしていたんです。それなら、働く場所が自宅になってもそれほど業務に支障は出ないだろうということで、主人からリモートワークを試し始めました」。

半年のお試し期間の中で、最初は週に1回、そこから少しずつ回数を増やし、パフォーマンスやアウトプットへの影響を検証しました。その結果、業務に支障はないという判断が下り、会社からリモートワークを認めてもらえることになりました。

しかし徳見さんの場合、研究職という職種が足かせとなって、リモートワークの実現が遠のいてしまいます。
「研究職ってアウトプットが曖昧なんですよね。パフォーマンスを正確に管理しづらいこともあり、現状のままではリモートワークを認められないという結論になってしまったんです」。

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現職のままリモートワークを実現することが難しくなったものの、アウトプットが明確であれば認められるということもあり、徳見さんは部署移動による実現を目指すことに。

「社内の各部署に、アウトプットが明確でリモートでも管理が可能な仕事はないかって、聞いて回ったんですよ。役員も『徳見がリモートワークできる仕事はないのか』と働きかけてくださって。そのおかげもあって、制作部門で引き受けてもらえる話が出ました」。

デザイナーとして制作に長く携わっていた経験が功を奏し、サイトのデザインやコーディングを行う部署に移動。さまざまな人の協力もあって、リモートワークを認めてもらえることになりました。

このようなプロセスを経て、ご主人は今年の頭に、徳見さんは4月に大三島へ移住し、現在は順調にリモートワークを進めています。

多くの人の理解と協力がリモートワークの実現に導いた

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徳見さんは、会社全体を巻き込みながら、リモートワークを実現しました。多くの人の理解と協力があったからこそ、リモートワークを実現できたと当時を振り返ります。

「上司とはプライベートでも仲が良くて、自分の性格をよく知ってくれていたんです。各部署にも仲が良い人がたくさんいて、リモートワークに関して色々な人に相談することができました。みなさんに私の性格を知ってもらえていたので、特に驚かれることもなく協力していただけましたね。他部署への移動を働きかけてくれた役員をはじめ、私のために、動いてくれた方々には本当に感謝しています」。

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また、当初は自分の直属の上司や役員など、タテの繋がりから許可を得るしか方法がないと思っていたと徳見さん。部署移動など、ヨコの繋がりから調整がスムーズになるとは、まったく予想していなかったといいます。

「他部署のマネージャーや部長から『もっと早く言ってくれれば、こっちもゆっくり準備できたのに』って言われたんですよ。まさか他部署の人が動いてくれるとは考えていなかったので、もっと早く相談していたらもっとスムーズだったかもしれませんね」。

リモートワークは人生の可能性を広げるチャレンジとなる

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▲徳見さんとご主人の祖父。徒歩でも通える近所で暮らしており、毎日のように顔を合わせているという。

移住から4ヶ月が経った今、現状にほとんど何のストレスも感じていないとのこと。むしろリモートワークによって業務効率が向上、アウトプットの質は確実に向上しているといいます。

「離れている分、しっかり仕事していることをアウトプットで見せなければならないという意識が働きますね。それに、リモートワークで仕事の質が下がったら、他の人がやりたくてもできない環境になってしまう。私たちが失敗するわけにはいかないというプレッシャーが、アウトプットのクオリティを高めていると思います」。

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▲現在の業務風景。ネット環境はとても良く、オフィスと変わらないレベルとのこと。

たくさんの人を巻き込み、はじめての試みに挑戦することは、プレッシャーである反面、業務のモチベーションにも繋がります。徳見さんの場合は、プレッシャーがモチベーションとなり、業務にいい影響を与えました。

「今後どのような課題が出てくるかは未知数ですが、現状では何の問題もない」と徳見さん。お二人にとっても、会社にとっても、今回のリモートワークは大成功だったといえるでしょう。

仕事以外の時間は、祖父母との繋がりを元に地域の方々とコミュニケーションを取ったり、地域活性化のコミュニティに参加してみたりと、現地での繋がりを模索中とのこと。

「まだ移住したばかりで構想段階ですが、コワーキングスペースを作ってIT関係の人が入ってきやすい環境を整えたり、地域の何かとITを結びつけてみたりと、この地との繋がりを作ってきたいと思っています」。

リモートワークによる移住生活は始まったばかりですが『生活の知恵と文化を学び繋ぎたい』というコンセプトの実現に向けて、お二人は着実にベースを積み上げています。

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今回の徳見さんの取材から、リモートワークは「プライベートにもビジネスにも素晴らしい影響を与える」ということがわかりました。

もちろん、徳見さんのパターンがすべての人にあてはまる訳ではありません。しかし、お二人のように、社内のコミュニケーションが円滑でプライベートでも目標がしっかり定められている場合、リモートワークは人生の可能性を広げる、有意義なチャレンジになるといえるでしょう。

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