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なぜ、あなたの企業は優秀な人材を採用できないのか?佐野一機氏が提唱する、人材戦略における「3つの罠」

2016.06.03

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特異なビジネスモデルによって急成長を遂げてきた、サティス製薬。

そのビジネスモデルを裏で支えているのが、優秀な社員たち。同社には大手化粧品メーカーである同業種はもちろん、異業種からも優秀な人材が集まってきている。採用で苦戦する企業が多い中、サティス製薬はどのようにして優秀な人材を集めているのだろうか?

後編では、サティス製薬の取締役を務める佐野一機氏に、同社の人材戦略における考え方を伺った。

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「これからの企業に必要な雇用力」をテーマに開催したカンファレンスの登壇メンバー。中央が佐野氏

優秀な人材が入ったら企業が成長する。企業が陥りやすい「人材戦略」における勘違い

— サティス製薬様には、化粧品業界大手メーカー出身の方はもちろん、それ以外の業界からも人材が集まっていると伺っています。他業界からもタレント(優秀な人材)が集まるのにはどういった要因があるとお考えでしょうか?

佐野:優秀人材をどう定義するか、というのがそもそも難しいのですが、今回は一旦そこは置いておいて、タレントが集まる企業の条件は非常にシンプル。3つの条件を満たしている企業にはタレントが集まってくると思います。

1. 成長している
2. 企業・トップのビジョンが明確
3. 経営陣をはじめ組織全体が採用にフルコミットしている

当たり前ですが、成長していない企業に人は集まってきませんし、そもそも人を採用する動機があまりありません。そして、企業・トップのビジョンが明確であればあるほど、「自分がそこにいるべきかどうか」がわかります。優秀な人達というのは「自分のミッション」を少なからず持っている傾向があるので、こういった判断軸があることはとても重要です。

また、当然ですが、口を空けてまっていれば応募者が集まるなんて時代では全く無いので、採用を重要な経営課題として組織全体でコミットしている必要があります。一方で、「どういった組織にタレントは集まるか?」というよりも、「タレントが集まらない組織がやってしまいがちな罠」があるなと思っています。

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サティス製薬社の企業ビジョン

— ……罠ですか?

佐野:ひとつは、成長の目処が立っていないのに優秀な人を採ろうとしてしまう。「優秀な人が入ったから企業が成長する」というわけではなく、「事業のサイズと時期に適した人材が入ると企業が成長する」ということだと思います。

成長の見込みがないのに、優秀な人をいたずらに集めようとしても失敗するだけ。結果的にその人たちが離職していくと思います。サティス製薬には新卒も中途も頼もしい面々が参加して事業を力強く回していってくれていますが、これもタイミングの見極めがうまくいっているからだと思います。

— フェーズに合った採用を心がけることが大切であると。

佐野:あとは、企業のトップが「自分より優秀な人材を採用したい!」と心から思えているかどうかも大切です。意外と中途で入ってきた人材が活躍すると、嫉妬して潰そうとる人もいるのですね。

本当に優秀な人材を採用したいと思っているか?ポジションパワーが引き起こす、採用活動への弊害

— 会社での自分の立場を守るために。

佐野:そう、ポジションという名の既得権益を守ろうとする。僕がリーダーシップの講義でよく話をするのですが、多くの人が「リーダーシップ」と「ポジションパワー」を勘違いしていると思います。世間で「リーダーシップがある」と言われている人でも、実はポジションパワーで人を動かしているだけ、ということはあります。

— と言いますと?

佐野“人を引っ張る”という行為は、あくまでリーダーシップの手法の一つであって、ポジションを持っている人が「ポジションパワー」によって、人を引っ張るのはリーダーシップと言えません。

リーダーシップもポジションパワーも「人を動かす」という目的のための手段。リーダーシップは”信頼の力”で人を動かし、ポジションパワーは”立場の力”で人を動かします。人を引っ張る、ということを「立場」を使ってやるのか「信頼」を使ってやるのか、そこを見極めなければ、リーダーシップのあるなしはわかりません。

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佐野:その点を踏まえると、中途で入社してくる優秀な人はいきなりポジションパワーをフル活用できないので、何とか社内の人に「あの人、面白いな」と思ってもらわないといけない。ポジションパワーを使おうとすると、「あいつ何なの」という雰囲気になるので、きちんとリーダーシップを発揮する、つまり信頼で周りを巻き込んでいかなければいけないわけです。

ただ、そこで負けん気が強いボスが変なライバル意識を持ってしまうと、「もっとこうしたい」とか「こうすればいいのに」と水を差して嫌な空気にする。そうなると、優秀な人が力を発揮しずらいメカニズムが社内に出来上がっていってしまうのですよね。

優秀な人を採用するには、ポジションパワーを持っている社長や部門長が「自分より優秀な人を採りたい、それと一緒に自分を成長させたい」と、どれだけ本気で思えているかどうか。これがとても重要になります。トップが本気で思えていないのに優秀な人を入れようとしてしまう。これも人材戦略における罠ですね。

採用後のサポートも忘れずに。企業が陥りやすい「釣った魚に餌をあげない」問題

佐野:それに加え、優秀な人たちが力を発揮できる環境をいかに作れるか。ここにも罠が潜んでいて、意外と優秀な人たちに仕事を丸投げして終わってしまうパターンが起こりがち。

— スキルもあるから、「問題ないだろう」と任せてしまう。

佐野:そう、それが良くないんですよね。その人たちが力を発揮できるようにサポートできるかどうかが大事だと思います。優秀なだけに、丸投げが結果的に「力を発揮しやすい環境」であることは多いかもしれませんが、様々なタイプがいるので、短絡的に「丸投げOK」では危険です。

— ちなみに、サティス製薬さんはどのように環境づくりを行っているのでしょうか?

佐野:大きく、仕組みの部分と文化の部分があります。まだまだ仕組み作りも途中なので、本当に様々な事を試しています。たとえばチームとのコミュニケーションであれば、マネジメントチームに関しては社長の山崎が定期的に1on1で面談を行っていますね。さらにマネジメントはチームメンバーと1on1をやり、そこで方向性のすり合わせやモチベーションの確認をしています。

あとは、僕も入社してきたメンバーに対して、「どう?やりたいことできてる?」と適宜、ケアするようにしています。その他、評価軸や教育制度など、HRMシステム全体が整合しているかどうかを気に掛けながら、常に最適かどうか検証しています。

優秀な人が力を発揮できる環境を経営陣が整えておくと、まず優秀な人が入った部署のレベルが上がり、相対的にそれ以外の部署のレベルが見劣りしてしまうということはおこります。一見、最初は組織のバランスも悪くなるのですが、それに影響されて他部門が成長したり、成長をつくる人材が入社したり最適化していきます。

優秀な人がいると「その人がいるなら入ろうかな」と、良い人材が入ってくるスパイラルが出来上がる。このサイクルをうまくつくれるかどうかはとっても重要ですね。例えばIT企業だと「良いCTOがいると良いエンジニアが入ってくる」という話は良く聞きますが、そのサイクルと同じですね。

— 話を聞いていると、本当に色々な罠があるなと思いました。

佐野:そうですね。他にも細かな罠があると思うのですが、顕著なのが「タイミング間違える罠」、「本当は優秀な人がいると邪魔なのに採用してしまう罠」、「釣った魚に餌をあげない罠」だと思います。

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サティス製薬の社内。「共創」の場としてシェアオフィスとしての機能も

多分、「タレントを採用できない……」と嘆いている企業は、この3つの罠のどれかに引っかかっていると思うんです。

別の言い方をすると、「自分に求められる役割を明確に伝えてくれる」「自分のミッションと照らし合わせることができる企業ビジョンがある」「優秀な人がいきいき働いている」といった環境で僕は働きたいと思いますし、自分が所属する組織もそうありたいと思っています。

— なるほど、ありがとうございます!佐野さんのキャリアから人材戦略まで、幅広くお話を伺うことができ、すごく刺激的な時間でした!今後のご活躍を楽しみにしています!

(終わり)

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