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バカになれた人が上手くいく!新たな出会いと働き方を叶えた薬剤師ITエンジニアの仕事術

2016.09.09

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薬剤師として薬局を経営しつつ、薬局向けITソリューションをエンジニアと一緒に開発している山口洋介です。2年ほど前に「空飛ぶ処方せん」という無料の処方せん送信サービスをリリースしました。現在では全国50店舗超の薬局と、500名ほどの患者さんにご利用いただいています。

薬局に限らずですが、サービス業の業務効率は製造業に比べて著しく低いと言われています。最近話題になっている人工知能やIoTで、薬局の業務効率化につながるツールを開発して、全国の薬局、薬剤師に役立ててもらうよう活動しています。

今回、2つのことを皆さんにお伝えしようと思い寄稿しました。1つは、薬剤師とITサービス開発を組み合わせて働いたことで得た気付き。2つめが、わたしが働き方において心がけてきたことです。

薬局のシステム改善は薬剤師の自分がやったほうが早い?と始めたプログラミング

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そもそも薬剤師なのになぜプログラミングをやっているのか?ということをよく聞かれます。プログラミングを始めたきっかけは、本当に成り行きでした。

きっかけは「空飛ぶ処方せん」を運用するうちに、現場の薬剤師が望むであろうカンタンな機能追加は、エンジニアにお願いするのではなく、薬剤師である自分が実装したほうが早いんじゃないか、という単純な発想からです。その分、エンジニアにはより付加価値が高い仕事に時間を使ってもらえれば…と考えました。

最初はHTMLを修正してレイアウトをいじるぐらいからスタート。ところが、いろいろやっていくうちにプログラミング言語の一つであるJavaScriptもできたほうがいいよねと思い始め、さらにはサーバサイドのプログラミング言語Pythonもできたら実装できる機能に幅がでるよね、というように少しずつできることを増やしてきました。

プログラム言語の動画サイトや本のサンプルコードを暗記して通勤時間に「写経」することを繰り返しながら感覚を養い、あとは実装の過程で勉強しています。

薬剤師の自分が困っている事を解決。すると患者さんの困ったことも解決!

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薬局を開局したのは、空飛ぶ処方せんをリリースして1年ほど経ってからです。薬局というと受付の事務さんがいて薬剤師さんがいて…と、ひとりですべてを回している薬局は、ほぼほぼないと思います。ですが、ぼくの薬局で働いているのは自分だけ。「ほぼほぼない」薬局です。

業務効率化のためのツールを開発しているつもりが、自分の薬局のシゴトを超効率化しなければならないことになったわけです。でもこれは本当に幸運なことでした。ぼく自身が薬局で困っていること、非効率だと思うことをプログラムで解決。そのツールなり何なりを全国の薬局に向けて公開していけばいいという、極めてシンプルで合理的な開発プロセス、思想なようなものを確立することができたからです。

そこでまず着手したのが、多くのデータから様々なパターンを見つけ出す機械学習で医薬品配置を最適化すること。自分が作業している時間=患者さんを待たせている時間なので、少しでも作業時間を短くするために処方せんのデータを機械学習で処理して薬品棚の配置を改善しました。

そうすることで薬を取り揃える(これを調剤といいます)時間をほぼ半減させることができました。待ち時間を短くして、コミュニケーションの時間を確保すると患者さんの満足度も上がります。長い待ち時間で困っていた患者さんとしたら当然でしょう。

このようにして作り上げたツールをWebアプリにして公開して、さらに「デジタルヘルスラボ・アワード」というヘルスケアのイベントで発表したら想像以上に高評価をいただくことができ、グランプリを受賞しました。

このように今でこそ「薬局」「システム開発」という2つの柱で会社を経営していますが、会社を辞めたのが2009年なのでここに辿り着くまで6年ほどかかりました。それまでは「何をやっているのかよくわからない人」というのが、周囲からの評価でしたね。

起業が全然わからない状態だけど、現状を変えようと行動して起業!

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元々、父親が自営業だったことから、子供の頃から「自分の会社を持ちたい」という欲求は持っていました。ただ「何をやるか」「何をやりたいか」という具体的なイメージはないまま、就職して、結婚して、子どもができて…と、いつの間にか会社勤めをダラダラと続けている自分に気づきました。

そこで、食っていくだけなら薬剤師でなんとかなると算段をつけて「とにかく現状を変えよう」と、思い切ってサラリーマンを辞めて起業の準備をすることにしたんです。とはいっても、本当に何の考えもなしに辞めたので「何をやるか」「何をやりたいか」さえ決めていない。もちろん「起業するために何をやればいいのか」すらわかっていない状態です。

いずれにせよ起業のネタがないと何も始まらないということで、興味のあるイベントには可能な限り顔を出して、そこから得たヒントをもとにサービスのアイデアを考える、ということを1年ぐらいやっていました。

今、考えると、イベントに参加するぐらいのことは会社を辞めずともできたはずだと頭では分かるのですが、なんでもいいからとにかく「行動するしかない」という状況に自らを追い込んだことがよかったですね。具体的な何かが決まるまで会社を辞めていなければ、今も悶々としながらサラリーマンをやっていたと思います。

最初の試みは壁にぶつかる。でも、そこで集めたデータからニーズを発見しサービスを開発

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いろいろ考えた結果、生まれた起業のネタが「薬局のサービス評価」。カンタンに言えば、患者満足度調査のコンサルティングです。幸いにも会社を立ち上げる前から引き合いがあり、他業種も含め2年間で10件ほどの案件に携わることができました。

しかし、考えていたほどのニーズはありませんでした。空いた時間にこれまでの分析を深掘りしていくと、たとえば接客態度が悪いからといって満足度が悪くなり、待合室が綺麗だからといって満足度が高いというわけではない。その中で、待ち時間だけは長ければ満足度は低く、短ければ満足度は高い、という比例関係にあって、しかも関係が最も強いことに気づきました。

そんな時に、いま一緒に仕事をしているエンジニアと知り合うことになり、薬局での待ち時間を短縮するためのサービスとして「空飛ぶ処方せん」を考案したわけです。そこから現在に至るまでは前述したとおりです。

口や頭など首から上は動かさなくていい。首から下を動かして行動すれば出会いが生まれ、働き方も変わる!

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働き方についての記事がSNSでシェアされているのをよく見かけます。それに触発されるのもいいですし、気にせず我が道を行くのもいいでしょう。ただ、どちらでも強調してし過ぎることはないと思うのは「行動すること」

ぼくの周りにはいないのですが、世の中、口とか頭とか、いわゆる「首から上」がよく動く人が多い。そうではなくて「首から下」を動かすことが本当に重要なんだと思います。それは何かを見つけるためだったり、何かが見つかっている人はそれを実現するための行動だったりするかもしれません。起業してようが勤め人であろうが関係なく、なんでもいいんです。

人間どうしても効率的にやろうとすると、頭が良いと見せかけたり、もしくは自分は頭が良いと勘違いしてしまって、まず考え込んでしまいがちです。

「現実では、頭の中で起こりえないことがよく起こる」と言われますが、僕に言わせればそれは全くの逆です。「頭の中では、現実で起こりえないことがよく起こる」が正解。つまりヒトの脳内は虚数空間なんだと思うのです。だから、バカになって思いついたことをすぐに実行したほうが早い。

これまで僕は成果も何もない、振り返ってみれば意味のない行動を、たくさん経験しています。相手にされず虚しい気持ちで帰ったことも数えきれません。でも、そういった「ムダ走り」も含めた行動の結果が、いい仲間が見つかることにつながり、やったことのない領域にチャレンジして評価してもらえることにもなりました。考え込むよりもとにかく動くことで、良い偶然に出会えているのだと思うのです。

皆さんも、たとえムダ走りであっても、バカになって思いついたことをすぐに実行することから始めてみましょう。その先には、いろいろな良いことが待っているはずです。

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