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働く上でのリスクを極力ゼロにしたい。そして全社員が「Go Bold(大胆にやろう)」を体現できるように。メルカリが「merci box」を導入した背景にある想い

2016.03.15

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会社やルールに縛られない”多様な働き方”が当たり前となってきている今、企業も”多様性”を取り入れなければ時代の流れに淘汰されてしまうでしょう。実際、「アルガード」などで有名な目薬大手のロート製薬は副業を解禁しました。

リモートワークや副業が普及しつつある一方で、結婚、出産、育児といった「ライフイベント」に合わせた、柔軟な働き方の実現は道半ばといったところ。まだ制度が整っていないのが現状です。

そんな状況の中、ある企業の人事制度が大きな話題を呼びました。その人事制度の名はmerci box。フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリが導入した制度で、その内容は産休・育休期間中の給与を会社が100%保障、育児や介護で休暇を取得する際は、5日間を特別有給休暇とし最大で10日間まで休暇の取得が可能という複数の制度を組み合わせたもの。

今回、WorkSwitch編集部では、メルカリの広報 中澤理香さんに、なぜ「merci box」を導入することにしたのか。その背景にある思いを伺ってきました。

メルカリで安心して長く働いてほしい。創業3年目のタイミングで導入を決めた人事制度「merci box」

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— 単刀直入にお伺いしますが、なぜ「merci box」を導入しようと思ったのでしょうか?

中澤:メルカリは2月1日で創業から3年経つのですが、そのタイミングで事業規模も拡大し収益も十分立ち上がってきたので、「優秀な社員により長期で働いてもらうために人事制度をもう少し整備したいよね」と考えたことが導入のきっかけでした。

これまでも副業の推奨やフレックスタイム制度など、社員の”働きやすさ”をサポートする制度はあったのですが、社員数も200名を越えてきて、組織に少しずつ変化が起きていたんです。CS(カスタマーサポート)を含め女性の社員も増えてきていましたし、社員の年齢は20代後半〜30代前半が多くなりました。

そんな背景もあり、創業から3年目のタイミングで結婚、出産、育児などの「ライフイベント」を控える社員たちが安心しておもいっきり働けるための制度を充実させよう「merci box」を導入することにしました。

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あと昨年、代表の山田や取締役の小泉に子どもが生まれたんですね。「merci box」を導入する直接的なきっかけになったわけではないのですが、より身近に出産・育児を支援する制度の必要性を感じたことも導入の背景にはあったと思います。

— 「ライフイベント」に合わせて柔軟な働き方をしてほしいと。

中澤:そうですね。20〜30代って年代的にライフイベントが多いと思うんですけど、結婚や出産、親の介護などを安心して迎えて欲しいですし、子どもがいる社員の人は育休を積極的に利用して欲しい。

もちろん、これまでも休みを取りづらいということはなくて、「今日は子どもを病院に連れて行くので休みます」っていうのも全然OKな雰囲気だったのですが、改めて会社側から結婚、出産、育児を支援しようと。「merci box」は「メルカリで安心して長く働いて欲しい」という会社側からのメッセージでもあるんです。

突如起きるリスクを極力ゼロにしたい。そして全社員が「Go Bold(大胆にやろう)」を体現できるように

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コアバリューの一つ「Go Bold(大胆にやろう)」がプリントされたTシャツ

— 支援の体制を整えることで安心して働いてほしい。まさにメルカリのコアバリューの一つである「Go Bold(大胆にやろう)」を充実させる制度ですね。

中澤:まさにその通りです!育休って取得後の不安が多いと思うのですが、メルカリでは復職後に休む前と同額の支援をもらえる状態にし、安心して出産・育児に専念してもらう。もちろん、育休から戻ってくるときの心配もなくして、産・育休で会社を辞めてしまうことがないようにしています。

この「merci box」の根本にある考え方として「ダウンサイドリスクを抑える」というものがあります。最近のベンチャー企業って、福利厚生を厚くするところが多いですよね?例えば、家賃補助があったり、ランチを無料にしたり・・・

— 確かにそうですね。

中澤:意外と言われることもありますが、メルカリではそうした福利厚生は設けておらず、フリードリンクがあるくらいです。その理由は、「給料の使い道は社員の自由に任せたい」と考えているからです。家賃を例にすると、「高くても近いところに住みたい」という人もいれば「遠くてもいいから広い家に住みたい」って人もいるかもしれない。

その給料の使い道は会社が決めるのではなく、個人の裁量に任せています。会社側は使い方を限定した補助を出さない代わりに給料のベースをアップするというふうにしています。そこを私たちは「アップサイド」の部分と呼んでおり、「アップサイドはできるだけ自由に」を意識しています。

一方、今回のmerci boxは「ダウンサイド」の部分、つまり「突然、ケガをして入院することになり働けなくなった」、「子どもが生まれてしばらく家にいる必要がある」など、ライフイベントで必ず起きることや誰にでも突然起きるかもしれない「働けなくなるというリスク」の部分について、会社で出来る限り負担してあげたいという考えがもとになっています。

誰にでも起こりうるリスクに対して、「もし起きても大丈夫」と安心できれば、全社員がよりおもいっきり仕事に集中できますよね。まさに、メルカリのコアバリューの一つである「Go Bold」が体現できるようになると思っています。

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— 会社、社員の双方にメリットがある。

中澤:死亡保険に関しても「万が一の時の安心」という書き方をしているのですが、社員が万が一亡くなった場合、ご家族の方は本当に大変ですし不安が多い状態になると思います。会社でできるかぎりの支援をし、寄り添いたいという思いで死亡保険を盛り込んでいます。

スタートアップって大企業に比べると、「不安が多い……」「支援が手厚くない……」といったイメージが世の中にはまだ残っていると思うんです。でも、メルカリはリスクの部分については大企業以上に制度を手厚くし、社員に安心して働いてもらえる環境を作っていきたいと思っています。ご家族にも「死亡保険まで会社が払ってくれるなんて、いい会社なんだ」と安心感を覚えてもらいたいですね。

一線で活躍する人が率先して育休を取得する。その雰囲気づくりが育休の取得には大切

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— 個人の働きやすさだけでなく、家族も安心して働けるように。とはいえ、育休制度を使用した事例をあまり耳にしたことがないのですが、どうやって浸透させていこうと思っているのでしょうか?

中澤:弊社で人事を担当している石黒という者がおりまして、彼がよく言っているのですが、「育休は第一線で働いている社員、会社のエースが取らないと意味がない。バリバリ働いている人がとってこそ、周りの人が、『自分も仕事ができて家庭も大事にできる人になりたい』と思うようになる」と。それを聞いて、確かにその通りだなと思いました。

最近、FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグが2ヶ月間の育休を取得したことで、社会全体の「育休」に対する関心が高まったように、バリバリ働く人が育休を取得して会社に戻れる事例や雰囲気を作ることが大事だなと思っています。やっぱり、育休制度があっても使われなければ意味がないので。

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— では最後に。メルカリはこの「merci box」を通して、働き方をどのように変えていきたいと思っていますか?

中澤:先ほどもお話したとおり、人生において「ダウンサイドリスク」が発生してしまうのは避けられないことです。それを踏まえた上で、みんながおもいっきり働ける環境を整えていきたいと思っています。メルカリは採用に超積極的で、今後もどんどん人が増えていく予定ですが、組織が拡大してもこの会社の雰囲気や制度を続けていきたいですね。また、自社だけでなく、業界や日本の会社全体への支援の良き事例として、少しでも影響を与えられれば嬉しく思います。

(メルカリの人事制度「merci box」の詳しい内容はこちらから

【取材・執筆:新國翔大】

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