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女優兼エンジニア 池澤あやかがパラレル・キャリアを選ぶ理由とは?

2016.12.20

出典元:20代の"はたらきデータベース”キャリアコンパス

日本テレビ系列のテクノロジー番組『SENSORS』などに出演している、女優の池澤あやかさん。実は彼女は、デジタルデバイス(装置)を作ったり、プログラミングに関する書籍を出版するなど、エンジニアとしての顔も持っています。

なぜ、「女優でありながらエンジニア」という、パラレル・キャリア(複数の仕事持つ働き方)の道を歩むようになったのでしょうか。池澤さんに話を聞いてみました。

普通であることがコンプレックスだった

―まずはデビューに至る経緯について教えてください。池澤さんは中学時代に東宝芸能のオーディションに応募したことがきっかけで、女優としての仕事を開始するのですよね。

「はい。小学校の同級生で一番仲の良かった子がタレント事務所に入っていて、隣で彼女を見たり、仕事の話を聞いたりして、『なんか面白そうだな』と思っていたんです。『女優になりたい!』『演技をしてみたい!』という強い気持ちがあったわけではなくて、漠然と『面白そうな世界だな』と。

中学時代、私は特にクラスでも目立つタイプでもなかったですし、取り立てて特徴のある子でもなかったことが、ちょっとしたコンプレックスでした。自己紹介するときにも『私ってすごく普通だな』って思って(笑)。

そこで『何か自分にもオリジナリティが欲しい』と思って母に相談したところ、東宝シンデレラというオーディションを見つけてきてくれたんです。母の勧めもあり、思い切って応募したところ、運良く審査委員特別賞をいただいて、『ラフ』という長澤まさみさん主演の映画でデビューしました」

―芸能界というきらびやかな世界に入って、人生が一変したという実感はありましたか?

「大きなスクリーンに映っている自分を初めて見たときは、その大きさに驚きましたね(笑)。ですが『人生が一変した』みたいな実感や、『女優になったんだなぁ』という感慨は、そこまで感じませんでした」

池澤さん

―女優としてのキャリアのなかで、一番大変だったことはなんですか?

「大学1年生のころに、舞台の初主演をしたときですかね。全然舞台での演技の基礎がないのに、いきなり主演を任され、とても苦労した記憶があります。 せりふを覚えるのも、演技するのも、とにかく体当たりでぶつかっていきました。

演出家の方からは『下手でも下手なりに気持ちを乗せれば、せりふに感情が宿るから』といわれ、感情をこめて必死にせりふを叫んでました(笑)」

エンジニアの世界に引かれたのは、胃袋をつかまれたから

―女優の世界で活躍する一方で、慶應義塾大学環境情報学部に進まれましたね。大学ではどのような勉強をしたのですか?

「入学した当初は、映像の勉強がしたかったんです。でも、映像に関する授業を受けてみたのですが、あんまり肌に合わなくて。

そのため専攻を変えようと思い、いくつもの研究室が集まる研究発表会を見に行ったんです。そのとき筧康明研究室が展示をしていた『Tag Candy』という作品を目にしたことが、テクノロジーやデジタルデバイスに興味を持つきっかけとなり、大学でエンジニアリングを学ぶことにしました。

―「Tag Candy」とはどのようなものなんですか?

「Tag Candyはキャンディの食感を変えることのできるデバイスです。振動スピーカーでキャンディを振動させることで、炭酸のようなシュワシュワ感やシャリシャリ感などの食感を、キャンディに加えることができます。実際にこれを体験したらすごく面白くて、なによりおいしかった(笑)。そのとき『ここの研究室にしよう』と思いました。だから私がプログラミングを始めたのは、胃袋をつかまれたからなんです(笑)」

デジタルデバイスを作りたいから、プログラミングを覚えた

―その研究室に入ってから、プログラミングを学んだのですね。

「はい。当時は全くの初心者だったのでプログラミングができず、結構苦労していました(笑)。プログラミング言語によって作れるものや領域が異なることも全然知らなくて、わらをもつかむ気持ちで『Ruby(ルビー)』という言語を学ぶ合宿に参加したりしていました。でも後になって、バーチャルリアリティの分野で必要だった知識は、『Processing(プロセッシング)』や『openFrameworks(オープンフレームワークス)』、『Arduino(アルデュイーノ)』などの別のプログラミング言語だったことを知ったりしました(苦笑)。

卒業制作では『syncFish』という水槽型デバイスを作りました。簡単にいうと、いままで観賞して楽しんでいた観賞魚と『交流』ができるというものです」

―女優兼エンジニアという肩書きになったのもそのころですか?

「そうですね。そのころ『MacPeople』という雑誌と『週刊アスキー』のWeb版で連載をさせていただけることになりまして。プロフィールの『好きな言語』というアンケート項目に『Ruby』と書いたら、どうやらそれがバズったようで。そういう反応が来るとは想像してなかったので、驚きました。

私は、面白そうだなって思えることをやってきただけなので、何か特別すごいことをしている認識はないです。でも世間からみたら、“女優”と“エンジニア”という全くジャンルの異なる2つの仕事を両立しているのが珍しいことだったのかも、って思います」

失敗は怖くない。面白そうなことを一生懸命やるだけ

―キャリアを選択する上で、初主演の舞台やプログラミングなど、新しいことに挑戦して失敗することが怖い、と思ったことはありませんか?
 
「それがあんまりないんですよ。『失敗しても、大丈夫』って思っていますし、失敗があっても何とか乗り切れてきたので。

職業選択という意味では、大学卒業のタイミングで女優をやめて、他の同級生と同じように企業に就職することもできたと思います。でもその道を選ばなかったのは、“女優”と“エンジニア”の両方をやっている人が今までいないので、『これから私がどういうキャリアを歩むのか、私自身が見てみたい』っていう好奇心が強かったからだと思うんです」
 
―20代の人は、自分の強みが分からなかったり、キャリア選択において悩むことが多いと思います。15歳から社会人として活躍してきた先輩として、そうした悩みを抱える同年代の人に声をかけるとしたら、どのように。
 
「私は会社に行って、朝から晩まで仕事している人を尊敬していますし、特に偉そうなことはいえないのですが……。もし人生の判断に迷ったら、まずは面白そうと思えること、これならできそうだ、ということにトライしてみるのもいいのではないかと思います。そうすれば、強みは後からついてくるかもしれません。

また、自分のオリジナリティが欲しいと思う人は、他の人が選ばなそうな“意外な組み合わせ”を考えてみるのも一つの手ではないかと思います。一つ一つはありがちなものでも、組み合わせると新しかったりすることもあるので。『女優』であり『エンジニア』である人はなかなかいないといった具合にです(笑)」
 
―最後に、これからどのようなことを実現していきたいですか?

「今、ハードウェアのものづくりがマイブームで、いずれ作品の展示ができたらいいなって思っています。具体的なことはまだ発表できないのですが、楽しみにしてもらえたらうれしいです」

現在製作中のデバイスのプロトタイプを準備する池澤さん
現在製作中のデバイスのプロトタイプを準備する池澤さん
 
識者プロフィール
池澤あやか(いけざわ・あやか) 1991年生まれ。女優/タレント/エンジニア。2014年に慶應義塾大学環境情報学部卒業。2006年に第6回東宝シンデレラ審査員特別賞受賞。同年、映画『ラフ』にてデビュー。主な出演作は映画『デトロイト・メタル・シティ』(2008年)、『潔く柔く』(2013年)、ドラマ『斉藤さん』(NTV/2008年)など。 公式サイトはこちら

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