やればできる!取得率100%企業に学ぶ、男性の「育休」取得問題

2016.01.04

ここ最近、男性の育休(育児休業)取得について大きな論争が巻き起こっています。

事の発端は一人の男性国会議員が育児休業の取得を宣言したことに始まり、その後の行動の一挙手一投足に注目が集まるなど、社会的に大きな関心が寄せられています。

去る12月25日には、政府が民間企業で2.3%にとどまる男性の育休の取得率を、2020年までに13%まで引き上げる計画を発表するなど、国を挙げて男性の育休取得率の向上を後押しする動きがあります。

そんな注目を集める男性の「育休」取得問題について、ここでは企業の取り組みと併せて見ていくことにしましょう。

男性の育休取得率は1.9%!

「男性の育休取得」と聞くと、まだまだピンと来ない方も少なくないかも知れません。人によっては「本当に取ってもいいものなの?」と思われる方もいるかも知れません。

もちろん、答えは「YES」です。2009年に改正された「育児介護休業法」では、雇用者は男女労働者から育児や介護の申請があった場合に、雇用関係を継続したまま一定期間の休暇を与えることを認めるよう義務付けられています。

ただし、現実的に育休の取得率を見ると、女性が83.6%に対し、男性は1.9%という非常に低い数値が調査結果によって報告されています。育休の取得を希望する男性が増えているにも関わらず、実際には取得できていないという現実にはどのような背景があるのでしょうか。

平成25年度 育児休業制度等に関する実態把握のための調査研究事業 報告書」より

男性が育休を取れない理由

政府の調査によると、男性が育休を取れない理由の上位は「職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だったから」「日頃から休暇を取りづらい職場だったから」「会社で育児休業制度が整備されていなかったから」など、勤務先での環境、制度の遅れが主な原因となっています。

平成25年度 育児休業制度等に関する実態把握のための調査研究事業 報告書」より

また、最近では上司による「パタハラ」も大きな要因として問題視されています。

※パタハラとは「パタニティ(父性)・ハラスメント」の略で、男性社員が、育児のために会社の育児支援制度を活用する際に、同僚や上司から妨害を受けること、または妨げとなるような圧力を受けることを指します。

脅威の育休取得率「100%」を誇る“イクメン企業”

それでは、日本国内の企業には男性による育休の取得を推奨する企業は存在しないのでしょうか。いえ、もちろんそんなことはありません。

厚生労働省が推進している「イクメンプロジェクト」では、2013年から毎年、男性の仕事と育児の両立を積極的に推奨している企業を認定する「イクメン企業アワード」を発表しています。

「イクメン企業アワード」に選ばれるような男性の育休取得を推奨する企業では、一体どのような取り組みがなされているのでしょうか。今回はその中でも、「2015年イクメン企業アワード大賞」に選ばれた、脅威の育休「取得率100%」を誇る2社の事例を見ていきましょう。

大同生命保険

・所在地:大阪府 業種:保険業 従業員数:6,894人
・男性の育児休業取得率 2013年度33.3%⇒2014年度100%

大同生命保険では、配偶者が出産した男性職員には、人事総務部から本人と上司に個別連絡を行い、上司からも育児休業の取得について声がけを促すなど、会社を上げて男性職員の育休取得を促進しました。

また、社内報で在宅勤務を活用している職員による事例の紹介、仕事と家庭の「両立支援ハンドブック」の提供、各種社内制度も大きく見直しました。

所定外労働の削減に向けた「リミット20」では、20時にPCを自動的にシャットダウンし、ビルを消灯することで残照できない仕組みづくりを行いました。

「仕事のスリム化運動」では社内の会議を原則45分以内に定めるなど、会議や電話、メールに関しても細かいルールを設定し、会社全体での業務のスリム化を図りました。

また、係長・リーダー候補者層の女性社員と、その上司にあたる管理職を対象として行われる「ペア研修」では、会社全体で制度を利用しやすい職場作りを目的に、マネジメント層の意識改革を行いました。

これらの取り組みを行った結果、同社では以下で挙げている数々の成果を達成することに成功しました。

・男性の育児休業取得率の向上
33.3%(2013年度)⇒100%(2014年度)

・一人あたりの月平均残業時間の減少
55%減少(2014年度対2008年度比較)

・総残業代減少
3.7億円のコスト削減(2014年度対2008年度比較)

社会福祉法人桔梗会

・所在地:群馬県 業種:医療・福祉 従業員数:57人
・男性の育児休業取得率 2009年度0%⇒2010年度以降は毎年100%

社会福祉法人桔梗会は小規模な企業でありながら、有給での育休化、時間単位での有給の取得など制度を見直し、上司からの育休取得の呼びかけなどにより、2010年以降はなんと取得率100%を継続して達成しています。

また、チームとして仕事ができるよう中堅職員の仕事を分散し、特定の職員が不在の場合であっても仕事が滞らないような仕組みを構築しました。主に会議の場で顧客情報をチーム内に共有し、共有スケジュールを導入するなど徹底した仕組み化が実を結びました。

大同生命保険では、配偶者が出産した男性職員には、人事総務部から本人と上司に個別連絡を行い、上司からも育児休業の取得についての声がけを促すなど、会社を上げて男性職員の育休取得を奨励しました。

「イクボスの育成」という観点では、群馬県産業経済部労働政策課が主催する「ぐんまのイクボス養成塾」を有効活用し、管理職のイクボス養成を実施。また、毎週金曜日をノー残業デーと定め、職場ごとにポスターを掲示して実践するなど、積極的に時間外労働の削減を行いました。

・所定外労働時間(全職員)8.3%減少
・離職率(全職員)6.8%改善
・業務効率化を行った部署の所定外労働時間 26.8%減少
・業務効率化を行った部署の時間外労働手当 544,106円減少

まとめ

みなさんが働いている職場では、男性の育休取得についての理解がありますか?今は3歳未満の子どもを持つ20〜40代の男性社員の3人に1人が、育休をとりたくても取得できていない状況にあると言われています。

政府が掲げる「2020年までに育休取得率13%」という目標が達成されるかどうかは、その時になるまで誰にもわかりません。

しかし、みなさん自身はどうありたいと考えますか。また、どういう職場であって欲しいと考えますか?そんな、思い描く理想の社会のために、今からできることは、たくさんあります。

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