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仕事と育児はどう両立?そのヒント、「イクボス」にありました

2016.12.07

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育児と仕事を両立させるために、皆さんは様々な悩みをお持ちのはず。

この問題に対してWork Switchでは、これまで社会制度を活用する方法企業内保育スペースの事例など、様々な角度からご紹介してきました。

今回、注目したのは「イクボス」。最近、メディアでも話題になっているイクボスとは何か、ご存知ですか?まずはイクボスについて、その定義をおさらいしてみましょう。

「イクボス」とは、職場で共に働く部下・スタッフのワークライフバランス(仕事と生活の両立)を考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司(経営者・管理職)のことを指します(対象は男性管理職に限らず、増えるであろう女性管理職も)。

(引用:NPO法人ファザーリング・ジャパン イクボスプロジェクト

この定義を踏まえて、イクボスの要素をまとめるとすれば次の2点になります。

1.育児に限らず、部下のワークライフバランスの実現に理解を示す
2.イクボスのいる組織や企業は、業績も向上することを実証する

このあたりがキーワードとなるようです。では、トップや上司が「イクボス」になるとどういう変化が訪れるのか? 3つの事例からその謎を解説していきましょう。

時の人だからこそ影響力は絶大! 東京都の場合

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写真:東京都庁

「都庁の残業の多さにびっくりした」と立ち上がったのが、2016年に就任した小池百合子東京都知事。東京都知事選の公約にも掲げられていた「働き方改革」の手はじめとして「イクボス宣言」を行ったことは、世間の耳目を集めました。

就任直後の今年9月、小池都知事は都庁職員の幹部約400人を集め、仕事と育児の両立を実現する職員を支援すると宣言。

小池氏は「残業は美徳だという意識を変えて欲しい」と強調。その上で「上司が育休などに理解を深め、部下が安心して子育てできる環境をつくってほしい(略)」と訴えた。

(引用:日本経済新聞

小池都知事は、都職員の上司である管理職がまず先頭になり、残業削減や育児休業取得率の向上に努めることで、民間企業への推進を促すことも目的のひとつとしています。

また、イクボス宣言に合わせて待機児童対策も発表。約126億円の補正予算を待機児童対策に用いると公言しました。イクボス宣言を行う自治体トップが登場することで、リーダーシップを発揮して公費を用いての子育て対策も前進したのは注目です。この動きが他の道府県にも広がることに期待が高まります。もちろんそれに加えて、前掲の日本経済新聞の報道にあるように、イクボスへの注目度を上げた効果も見逃せません。

次はイクボス宣言だけではなく、自らイクボスがいる組織をチェックします。

各家庭の事情にあわせた育児休業を推奨。文京区の場合

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写真:文京区役所(写真右)

2010年に自治体の首長として育児休業を取得した第一号となったのは、東京都文京区の成澤廣修区長(2016年現在現職)。新聞のトップを飾る一大「イクボス宣言」となりました。

区長自ら育児休業の取得へ至ったきっかけは、「家族をサポートしたい」というパーソナルな思い。さらに職場復帰後には、育児休業を取得したくても声をあげづらい男性の声に応え、23区では初となった「男性職員の育児休業等取得促進要綱」も策定。イクボスぶりをいかんなく発揮しています。

成澤区長の取り組みは、一見、男性の育休取得を強く推し進めているかのようにも見えますが、注目すべきは、現代の多様な子育て家庭の実態に寄り添っていること。

僕は絶対に育休を取るべきだ!とは思っていないのです。子育ては家庭ごとのカスタマイズだと思います。奥さんと話し合って育休を取るもよし、どちらかが専業主婦(主夫)になるもよし。いろんなやり方があるわけだから、それぞれが話し合って、それぞれの家庭に合うようにカスタマイズすればいい。

(引用:東洋経済オンライン

理念で固められた使いづらい制度をただ掲げるのではなく、現実を見ながら柔軟な対応ができる土壌を整えているのです。利用者にとって本当に必要なシステムを築く、まさに理想のイクボス。区長がイクボスとしての行動をとって以降、区の女性職員による育児休業取得率は100%、男性職員による育児休業取得率が17%(国の目標は2.63%)となりました。

改革は、区役所内に限ったことだけではありません。文京区では、「子育てフェスティバル」の開催や「ぶんきょうハッピーベイビープロジェクト」など様々な取り組みがあり、文京区の出生率は2010年の1630人から1918人に増加しています。区職員による育児休業の取得率が上がったことに現れているように、イクボスの登場で区役所で働くみなさんの意識も変わり、それが区全体に好影響を広げているのでしょう。

東京都知事と文京区長。“お役所”イクボスを紹介してきましたが、“民間企業”にもイクボスは存在します。次は「イクボス」で賞を受賞した、企業の取り組み例をご紹介しましょう。

イクボスは部署に応じて工夫をこらす。戸田建設の場合

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写真はイメージです

厚生省が主催し2016年9月に受賞者が発表された「イクボスアワード2016」という賞があります。イクボスアワードとは、男性が育児休業を取得することを促進して、イクメン(育児を行う男性)を増やす「イクメンプロジェクト」のひとつとして行われているもの。

この「イクボスアワード2016」大賞の受賞者が戸田建設の会社員でした。この大賞受賞者だけではなく、戸田建設の各事業所で次のようなさまざまな取り組みが行われているそうです。

1)保育園の送り迎えに配慮した打ち合わせ時間の設定
2)3カ月先までの休日を見える化して、休暇を取りやすい雰囲気作り
3)上司自ら早めの帰宅

こうした育児を軸としたタイムマネジメントの取り組みを、イクボスとなった管理職が率先して行っているそうです。

また、「正」「副」ふたりの担当を業務につける「バディ制」といった取り組みも注目。この働き方のシステムを導入したことで、ある業務に関わっているどちらかの社員が休暇を取得していても、もうひとりの担当がいるので業務がストップすることがないのです。

管理職がイクボス宣言をすると、部署の業務に応じた多彩な取り組みが行われる好例ですね。

そうして、戸田建設の今井雅則社長は、管理職の意識改革を行ってイクボスを増やそうとする企業のネットワーク「イクボス企業同盟(NPO法人ファザーリング・ジャパンが設立)に2016年7月に加盟。社長もイクボスとなったわけです。

まとめ

東京都庁の取り組みは、待機児童対策を加速させるだけでなくイクボスという言葉への注目度を高めました。文京区のケースは、区職員育児休業の取得率が上がっただけでなく、区全体に好影響が拡大しつつある実例。戸田建設の事例は、部署の業務に応じた工夫が参考になります。

こうした取り組みは、皆さんの職場・部署でも参考になるのではないでしょうか。

クリアしなければならない課題は組織によって異なります。その中で要職に就く「イクボス」が増えることをきっかけに組織が変わっていくと、仕事も育児も思いっきり頑張れる環境が生まれそうです。皆さまもこれらの成功事例をもとに、イクボス宣言することを職場の上司に相談してみてはいかがですか?

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