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私たちが「長時間労働」から抜け出せた理由 社員全員で成し遂げた成果とは?_IBS

2017.02.17

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インテリジェンス ビジネスソリューションズ(以下:IBS)は「業務プロセス」「IT」「人・組織」の領域で、コンサルティングからシステム開発、ITアウトソーシング、セールスマーケティングまで、幅広いサービスを展開するIT企業です。
私たちは、2011年より三六協定遵守のための取り組みとして、人事部主導で「労働時間マネジメント」を行っています。過重労働になりやすいIT業界。現在でこそ、現場社員も含めて当たり前のように運営されていますが、取組み当初、どんな苦労や想いがあり、そこで得た成果は何だったのでしょうか?SI事業にて取組みを主導してきた人事担当者、堀 真吾さん(IBS SI88グループ マネジャー)にお話を伺いました。
インタビュアー:インテリジェンス ビジネスコンサルタンツ 成瀬 岳人

―SI事業に突き付けられた「労働時間マネジメント」

IBSのSI事業で、労働時間マネジメントを取組み始めたきっかけと、その当時の状況を教えてください。
2011年当時、私たちIBSが所属していたインテリジェンスグループでは、ベンチャーから成熟企業への変革のタイミングで、労働時間マネジメントが強く推進されていました。当時のIBSのメイン事業はシステムの受託開発。お客様への納期が最優先される中、250名の社員の内、能力値の高い社員に業務が集中し、一部の社員の残業時間が突出して多い状態でした。
そんな中、親会社からの強い要請は全社員を対象とした労働マネジメント。私たちはすぐに「自分たちにはできない」と担当役員に直談判しに行きました。
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―生産性を高めて時間を短縮する「メンタルモデル」の変革へ

直談判ですか!その時、担当役員はなんとおっしゃったのでしょう?確か担当役員はITのプロフェッショナルだったかと。
はい。IT業界を熟知している担当役員から言われたのは、「会社全体の生産性を高めればできないことはない。本気で取組んで欲しい」という厳しい言葉。その当時の私たちは、一部の社員が担保していた業務を平準化することで、会社全体の成果が落ちてしまうことを恐れると同時に、納期を最優先するSIerとしての常識から、取組むよりも先に「できない」という答えを出してしまっていたように思えます。
それからは、どうすれば会社全体の労働時間を削減できるかを人事主導で頭をひねり、本気で取組み始めました。

―人事の地道な努力と変わり始めた現場

なるほど。納期に追われる中での一部社員の長時間労働、変わるのは至難の業だったと思いますが、何から取組み始めたのですか?
業務が集中している社員の業務量を調整するには全社員の意識改革が必要です。
毎日迫ってくる納期との戦いの中で、全社員の意識を変えることは非常に難しいことでした。
その当時、本社を構えていた浅草橋オフィスでは、週に1度早帰りDayを設定、早帰りDayになると私が大声で「今日は早帰りDayです。早く帰りましょう。」と叫びながら、オフィスを走り回っていました。地道な取組みですが、オフィスに蔓延していた帰りづらい雰囲気が払しょくされ、早く帰ることが“悪”ではなく、“正しい”という文化が醸成されたように思います。
その結果、残業が多くなりがちな社員に周りが気づくことができ、フォローすることができるようになってきました。
一方、お客様先オフィスで常駐している社員も多くいるため、顧客にも状況を話し、対応範囲や納期の交渉を行い、理解を求め協力をいただく活動も行いました。

―徐々に変わり始めた社内の労働時間。しかし、、、

オフィスの雰囲気が変わり始めると、一気に労働時間は改善したのでしょうか?
それが、そんなに甘くはなかったのです。表面上では、変わり始めたように見えた労働時間でしたが、実は本質的には変わっていないことも多くありました。
現場のマネジャーが一番苦労していたと思います。労働時間マネジメントはやらなくてはならない。が、お客様との約束(納期)を破るわけにはいかない。結局、一部の社員が、自宅に持ち帰って業務の続きをやる、勤怠時間の過小報告・・・などが日常的に行われるようになってしまいました。

表面上だけ変わったように見えたのですね。その状況から抜け出すのは非常に難しいと思うのですが、突破できた要因は何だったのでしょうか?
大きな要因は、経営陣の意識改革です。この頃には、経営陣そして人事は、労働時間マネジメントに取り組むことが会社の成長には必要なのである、一部社員に業務が集中しパフォーマンスを出し続けるには限界があると改めて認識し、会社全体で労働時間の削減に対する取組みはもちろん、時間ではない別の形で解決をしていく仕組みづくりなど、更に踏み込んだ取組みを始めていました。

具体的には、

・働き方をよりフレキシブルにする”マンスリーフレックス制度”の導入
・勤怠データと入退館のセキュリティカードのデータ付け合せによる事実確認、大幅乖離がある際の是正声掛け
・社内イントラサイトに、週3回勤怠データを公開、社員の長時間労働への意識の底上げと同時に周りからの声掛けを狙う
・毎週部長以上の会議で勤怠データを共有、マネジメント層がメンバーの状況を正しく把握
・生産性を高めるためにプロジェクトマネジメントツールを導入
・人材育成に対する予算と時間を拡大し、社員の能力を上げる
・エンジニアの稼働の負担を下げるためアシスタントの採用を行う
・会議室利用を減らし、オープンスペースでクイックに話を進める

経営陣が意志を持つことにより会社自体の労働時間に対する雰囲気が変わりました。その中で、上記のような細かな運用、仕組みづくりを徹底的に繰り返すことで、全社員が労働時間に対する意識が向上し、行動さえも伴うようになってきました。
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―労働時間マネジメントの成果について

経営陣、社員が労働時間マネジメントに取組みを始めて、どのような成果がでましたか?
2017年現在、IBSのSI事業で月間の平均残業時間が50時間を超えるのは、7%程度。取組み当時の2011年は、15%程度だったので、半減の効果です。
しかも、2011年250名だったSI事業の社員は、2016年には700名に成長しています。事業が成長を遂げるなか、一部社員への業務集中を平準化し、会社全体で労働時間マネジメントを進められたのは、お客さま、社員、経営陣、みんなで取り組んだ成果だと思います。
そして、労働マネジメントを進めることで、離職率が当時19%から10%にまで改善しました。社員にとっても少しずつ働きやすい環境になったのだと思います。

グループからの大号令で始まった取組みでしたが、結果的にIBSにとって、とても重要な変革となりました。
大きな成果として、労働時間マネジメントを強化し、ワークライフバランスが取りやすい環境になることで、それまでよりも格段に採用力が向上しました。スキルの高い人材が採用でき、その即戦力となる人材が安定して長く働いてくれる、そうしたことで生産性が上がり、短い労働時間でもお客様との約束を守ることも可能になりました。
良い歯車が回り始めたのだと思います。
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―必要なのはトップの意識改革

労働時間マネジメントに取り組もうとしている企業の中には、途中で挫折してしまう企業も多くあります。なぜIBSはうまくいったのでしょうか?
私たちIBSが労働時間マネジメントを成功できたのは、経営陣の変わろうとする意志の強さです。経営陣が意識改革を行わずして現場は変われない。そのことを経営陣が理解し推進すれば、どんな業界の企業であろうと変革できると思います。
IBSでは今も部長以上があつまる会議で勤怠データの公開は続けていますし、事業の責任者が毎月自身の部下全員に送る業績や事業トピックスの共有メールには、有給消化率や労働時間のデータが公開され、社員全員が労働時間に対して意識を保ち続けられるようにしています。

―IBSの経験を他社へ伝播「はたらく楽しさを、いっしょにつくる。」社会へ

IBSは、「はたらく楽しさを、いっしょにつくる。」というミッションを掲げ、SI事業だけではなく、コンサルティング、アウトソーシング、セールスマーケティングなど幅広なサービスを展開しています。現在、経営の喫緊の課題として重要なテーマとなっている「働き方改革」。IBS自身が「働き方」に向き合ってきた中で得た気づきを、ソリューションとしてお客様にも展開をしています。

―経営の重要なパートナーへ、ワークスタイル・コンサルティングの専門部隊の立ち上げ

2015年、IBSのコーポレイトベンチャーとして立ち上がった「インテリジェンス ビジネスコンサルタンツ(以下:IBC)」。ワークスタイル・コンサルティングを専門とするコンサルティング部隊です。今、経営者の頭を悩ませている長時間労働是正などの働き方改革をIBSでの取組み経験を活かし、経営のパートナーとして推進しています。IBC自体も働き方改革に取組んでおり、所属コンサルタント全員にテレワーク、在宅勤務を導入、週3日勤務を予定していたりと、生産性高い働き方を追求しています。
▼インテリジェンス ビジネスコンサルタンツの紹介は以下よりご覧ください
http://www.ibs.inte.co.jp/bc/

―テレワークを適正に評価できる組織へ「労務可視化ツール」

「働き方改革」が進む中、テレワークの導入を検討する企業も増えてきています。一方で、テレワーク導入の課題として、直接見えない場所で勤務をしているため過重労働になりやすいのでは?という労務リスクや、きちんと仕事をしているかどうかが分かりにくいため適正に評価がしにくいなどがあります。そこでIBSでは、PCのログ管理による労務実態の把握が可能となる「労務可視化ツール」を開発しました。このシステムを利用すれば、評価する側、される側ともに安心してテレワークを行うことが可能となります。
▼労務可視化ツールの詳細は以下よりご覧ください
http://www.ibs.inte.co.jp/news/2016/09/30/1373/

 

今回のインタビューから分かったこと、それは、経営が「メンタルモデル」を改革することが非常に重要であるということ。そうすれば現場が本気になり会社の雰囲気が変わる。そうして良い歯車が回り始めると、労働時間を削減できるだけでなく、採用の質があがり、離職率まで改善する。そのことが結果的にお客様へのパフォーマンスの最大化につながり組織自体の付加価値をも上げていくということでした。IBSのSI事業担当人事が約6年という歳月を経て築いたものは、どんな状況にも負けない“強い企業文化”なのかもしれません。
この経験を私たちは、IBSのサービスとしてお客様にも提供し、「はたらく楽しさを、いっしょにつくる。」社会の実現に向けて日々邁進していきたいと考えています。

 

― インタビューアー プロフィール ―
成瀬 岳人(なるせ たけひと)
インテリジェンス ビジネスコンサルンツ所属 コンサルタント
2006年インテリジェンス入社、人材サービスの営業担当として複数企業を担当した後、2012年から業務コンサルタントとして複数社の業務立ち上げ、改善を担当しながら、ユニファイドコミュニケーション、クラウドサービスの市場調査を行う。
2015年に、ワークスタイル変革コンサルティングサービスを企画・立上げ・テレワークの導入・検証を行う総務省実証事業および大手企業の長時間労働改善PJTを遂行。また、複数社のテレワーク導入コンサルティングに従事。
プライベートでは2児の父親。子供の夏休み期間の長期テレワーク勤務を実施。

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