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人が人に付く時代は、自己ブランディングで自由に働け!ブランド品専門フリー鑑定士の仕事観

2016.09.02

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ROLEXの腕時計。HERMESのトートバッグ。CARTIERのブレスレット。中古であっても1点で数百万円を超えることもある。そうした高級ブランド品を日々鑑定する「フリーランス鑑定士」という仕事が存在する…そう聴いて取材を申し込んだのが、本島大介氏・35歳。

ところが本人いわく「鑑定士」ではなく、「中古相場師」として働いているという。そう明確に使い分けるには、日本の高級ブランド品業界の「鑑定」に対する、本島氏の問題提起が込められている。

数百万円のブランド品を毎日手にする中古相場師の仕事とは。そもそもなぜ中古相場師として働き始めたのか。本島氏が今に至った「人が人に付く時代」の働き方についてお話を聞いてみた。

高い物を売る技術を身に付ければ、何でも売れるようになるだろうという浅はかな考えから始まった!

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— フリーランス鑑定士という新しい働き方についてお伺いしようと思うのですが、そもそも最初からブランド品の鑑定をなさっていたのですか?

本島:ブランド品を扱う仕事をする前は飲食店で働いていました。あとは、気が向いたらスノボードするために山篭りしたこともありましたね。半年間、山に篭もるんです。

— 半年間も山籠もり?

本島:スキー場やその周辺にはレストランがたくさんあるじゃないですか。そういうところでバイトしながら、空いた時間はずっとスノーボードをやってましたね。

— その頃から自由に生きてたんですね。その後、鑑定士に?

本島:そうです。高級腕時計ブランドであるロレックスを専門に扱う時計店で働きはじめました。

— ロレックスに注目した理由は何でしょう?

本島:高いものを扱うスキルを身に付ければ、どういうお客様でも接客できるようになるだろうっていう浅はかな考えからです(笑)。レストランで働いていた時から接客が好きでした。どうせならその接客スキルを高めたいという思いだったのです。

— 実際、接客術以外も学んだわけですね?

本島:ロレックスの販売に必要な高級時計に関する知識や、ロレックスの買取に必要な鑑定のスキルを学んだりしました。

その中でもやはり、ロレックスを買えるようなお客様との接客術を身につけられたのが一番よかったです。現在のフリーランス鑑定士として働く上でとても役に立っていますね。

— その後、フリーに?

本島:いえ、貴金属やダイヤに関する知識を身につけたかったので、ダイヤを主体としている買取店に勤めました。

その後は、高級時計などを扱っているブランドショップですね。ロレックスだけでなく、世界の様々な高級時計や、ブランドバックの鑑定技術をもっと勉強したかったからです。

— そうしたいくつかの専門店での10年間で、時計からバッグまで幅広い鑑定技術を身につけたわけですね。

本島:さらに一度IT業界でも働きました。ブランド品の販売をしているあるIT企業から、鑑定士をして欲しいと声を掛けられたんです。ブランド品の売買にITを組み合わせて面白いことをやってると聞いて、なんだか興味がわいてきて(笑)。

— その行動力、見習いたいです(笑)。

高級ブランド品業界に鑑定士はいない?!「この値段で買います」としか言えないブランド品業界の現実

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— そうした様々な経験を経て、フリーの鑑定士としての働き方が始まったんですね!

本島:実はですね。驚かないでください。ブランド品業界には「鑑定士」はいないんですよ。

— えっ!本島さんはフリーランス鑑定士ではないんですか…(汗)。

本島:「いない」は言い過ぎですかね(笑)。でも違法まではいかないけど、基本的には「鑑定士」とは名乗れない。ルイ・ヴィトンのバッグを、ルイ・ヴィトンのバッグかどうか決められるのはルイ・ヴィトンの人だけなんですよ。

— すると、いったい鑑定士は何をするのでしょうか?

本島:たとえばルイ・ヴィトンのバッグを買い取りして欲しいというお客さんが来たとします。けれど、買い取る側は「これはルイ・ヴィトンだから買います」とは言えない。だから、「この商品だったら私はこの値段で買いますよ」としか、本当は言っちゃいけないのが今のブランド業界の現実です。

つまり、表向きは鑑定をしているわけではなくて「このバッグは、この値段で欲しい」と判定してるだけ。モノの真贋判定はしていないという建前です。

— 値段をつけているだけ?

本島:不思議ですよね。でも、業界の人はみんな鑑定士という言い方をする。それがすごく気になっていたんです。そこで、独立して自分がブランディングを始めるときに「中古相場師」という言い方にしました。

— 「相場師」というと普通は株などで投機を行う人を指しますが?

本島:「中古」と組み合わせることで「相場師」に別の意味を込めました。

あらゆる商品には相場がありますよね。新品の相場は商品を作った会社が定価のような形で決める。じゃあ、中古の相場は、誰が決めてるのかって話になってきます。

さらに中古市場ならば、海外も視野にいれないといけない。例えば日本では2万円だけど、中国では4万円で欲しいって人がいると相場は本来4万円なんですよ。

— 「中古相場師」とは、海外も含めた「中古の相場」に詳しい人という意味なのですね!

本島:ええ。今までの経験や業界の知識もあって中古相場を自分は把握しています。だから「その商品の相場をお伝えすることで、手数料を頂戴いたします」というビジネスを考えたのです。面白いでしょう。

— 相場を教える手数料ビジネス!これは新しい働き方ですね。

本島:従来の中古ブランド品ビジネスだと、例えば国内で5万円が相場となっている商品を無料査定のブランド品買取店に持っていきますよね。すると、5,000円ですって言われることがあります。

— 全然相場と違うじゃないですか!嘘をついている?

本島:嘘つきというわけではありません(笑)。5万円が相場の商品を5万円でお店が買い取ることはできないのです。それでは利益がでませんから。

無料査定をウリにして、駅前に店舗を構えて、スタッフも雇う。するとどう考えても、査定をしている商品自体から利益をとる以外に方法がない。そうして存在しているのが、これまでの中古ブランド品ビジネスです。

— そういう事情なのですね。

本島:でもこれからは、そういうビジネスではないのかなと。中古相場師の私なら、相場を教えるのがビジネスですから、「相場は5万円ぐらいですよ」と教えられます。

— 5,000円と思っていた商品の相場を5万円と本島さんが教えてくれるなら、オファーしたくなります!

本島:中古ブランド買取店の人たちに怒られそうかも知れません(笑)。

— 業界をひっくり返すわけですね(笑)。そんな、中古相場師の1日はどういう感じですか?

本島:相談の依頼が来たら、まず商品を拝見して相場を教えます。買い取りをご希望の場合で、都内近辺のお客様であればご訪問しての買い取りもします。表立って買取ショップへ行けない芸能界の方からのご依頼も多いです。

時には、遺品整理へ行くこともあります。ご家族がお亡くなりになったお客様のご自宅でへ伺わせていただいて半日ぐらいかけて作業を行うのです。

— 半日作業!大変ですね。

本島:大変といえば大変でしょうか。遺品整理はとにかく点数が多いのです。急がれている方も多い。いろんなジャンルの相場を把握している私は、様々なカテゴリーで大量の商品に対して一挙に値段が付けられます。だから、そういうお客様に重宝されているのでしょうね。

あとは、買い取った商品を販売するためのルート探しもします。そこに結構時間を費やしています。さらに中古相場師としては普段からの相場調べも欠かせませんね。

これからは人が軸になる時代。だから“個”で勝負するフリーランス中古相場師を始めた!

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— そもそも、中古相場師という新しい働き方を考えた理由はなんでしょうか?

本島:これからの時代って、人が軸になる時代なのだろうと思ったことがきっかけです。

— どういうことでしょう?

本島:例えば、「ラーメン屋」とネットで検索すると、ラーメン屋が何百軒も出てきます。でも、どれが本当に旨いのかさっぱりわかりません。つまり、誰もが使用するネット検索は、実は有効ではない時代になって来てるんです。2、3年経つとそれがもっとひどくなってくるでしょうね。

— 検索の代わりに人が頼りにされる、ということですか?

本島:そうです。検索しても何が本当に価値があるのかわからない。すると、専門家に聞くしかない。だからこそ、本当のことをきちんと伝えられる中古相場師が必要とされるのだろうと思います。

— では、これからの時代、専門家以外は生き残れませんか?

本島:そうとは限りません。専門家以外でも人は軸になりえます。例えば、あちこちのメディアで起用される人気芸能人の多くは、Instagramのフォロワー数も多いですよね。

今、日本で一番Instagramのフォロワー数が多いのは渡辺直美で、460万人もいます。すると、渡辺直美が「TVCMに出ました」ってInstagramに投稿すると、460万人以上のフォロワーがそれを見るんですよ。

— 460万人!どの女性誌の部数よりも多いですね?

本島:このように、今や人は人に付いてるんです。だから自分は「個」で勝負しようと考えました。

— そこを見越してフリーランス中古相場師になったのですか?

本島:いち早くそれをやるために自分は「個」として勝負して、中古相場師というブランディングをしています。そこでしっかりと地位を確立できれば、中古ショップ屋を今後始めても、中古相場師がやっているお店として信用が得られますよね。

この人、あちこちのメディアに顔が出ているし、この人がダメだったら中古ブランド品を買うのも売るのもやめようかな、って思ってもらえるくらいになりたいですね。

— これからは人が人に引き寄せられる時代だからこそ「個」の力を伸ばして働くべきなんですね。自分自身のブランディングを考えてみます!本日はありがとうございました。

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