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多様性を意識した採用、組織作りを行っている企業のリアル。メルカリ、クラウドワークス、Woman&Crowdの3社が語る、ダイバーシティ経営

2016.05.27

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労働力人口が減少し続けていくと言われる日本において、多様な人材の活用は企業にとって最早当たり前の考えになってきています。ここ数年で、ダイバーシティを意識した採用、組織づくりに取り組み始めた企業も増えていますが、悩みが多いのも事実。「ダイバーシティは業績に寄与するのか?」「どうやって優秀な人材を採用すればいいのか?」など悩みを抱えている企業は多くあります。

そんな企業の悩みを解決すべく、5月13日(金)、LiBzCAREER2周年イベント【ダイバーシティを意識した採用、組織作りは企業業績に寄与するのか】が株式会社フリークアウトにて開催された。このイベントは、ダイバーシティに積極的に取り組んでいる企業3社を招き、現場での取り組みを語り合うというもの。

ダイバーシティ先進企業はどのようなことを意識し、採用・組織作りを行っているのか?イベントで語られた内容をお届けしていきます。

【登壇者】
Change Wave/ ジャーナリスト 中野 円佳 氏(ファシリテーター)
メルカリ HRグループ  石黒 卓弥 氏
クラウドワークス 執行役員  田中 優子 氏
Woman&Crowd代表取締役社長   石田 裕子 氏

イベントで語られたのは各企業の「ダイバーシティ度合い」。果たして、ダイバーシティ先進企業と言われている、メルカリ、クラウドワークス、Woman&Crowd(サイバーエージェントグループ)は現在、どのような取り組みを行っているのでしょうか?

採用活動によい影響が。社員が「Go Bold(大胆にやろう)」を体現できるようにした、メルカリの取り組み

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メルカリ HRグループ 石黒 卓弥 氏

“新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る”というミッションのもと、フリマアプリ「メルカリ」を運営している株式会社メルカリ。創業から3年で、2800万ダウンロードを超え、国内で最も使われるフリマアプリへと急成長を遂げています。

現在は海外展開に注力していることもあり、オフィスは東京、仙台に加え、サンフランシスコ、ロンドンにも開設。外国人社員も少しずつ増えているそうで、従業員数は国内外合わせて300名超に。石黒氏によると、男女比は概ね半々になっているとのこと。

同社が取り組むダイバーシティの施策として、特筆すべきは創業3年目の2016年2月に発表された、産休・育休期間中の社員の給与を100%保証する等の項目を含んだ人事制度「merci box」。発表と同時に大きな話題を呼んだ、この制度の立ち上げ理由を石黒氏はこう説明します。

「創業から3年が経過する中で、CS(カスタマーサポート)を含め20代後半〜30代前半の女性の社員が増えてきたんです。今後、結婚、出産、育児などの「ライフイベント」を控える彼女たちが”もしも”のことを考えず、思いきり働けるようにしたい。やはり会社からすれば、彼女たちに長く働き続けてもらいたいですし、休みを取得した後もきちんと戻ってきてほしい。そんな思いからmerci boxが誕生しました。経営陣に子どもが産まれたタイミングだったこともあり起案から1ヶ月半ほどでリリースしました。この制度を使って育休を取得している社員は5名おり、そのうち3名は復職しています」(石黒氏)

今後起こりうるであろう変化を恐れることなく、会社のビジョンである「Go Bold(大胆にやろう)」を体現してほしい。そんな思いから出来上がったmerci box。社員の働きやすさを力強くサポートする制度であることは間違いありませんが、採用活動にも良い影響を与えているといいます。

「merci boxをリリースしてから、採用の問い合わせが増えましたし、採用のクロージングもしやすくなりました。一般的に”スタートアップやベンチャーは制度が整っていない”といったイメージを持たれがちなので、この制度によって、そのイメージを払拭できたのは大きかったです。」(石黒氏)

多くの企業が採用に苦戦する中、理想ともいえる採用活動を行えているのは、社員の”働きやすさ”を意識した環境づくりを行っているからでしょう。

今後も制度は追加していく予定とのことで、たとえば取り組みたいのは育休を取得していた人の復職プログラムなど。メンター制度を作り、気軽に相談できるような環境整備を行っていきたいそうです。創業3年で急成長を遂げているメルカリ、その躍進を裏で支えていたのは社員の”働きやすさ”を意識したダイバーシティの取り組みかもしれません。

1年間で社員数が3倍に。働きやすい環境づくりに着手し始めた「クラウドワークス」

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クラウドワークス 執行役員 田中 優子 氏

『「働く」を通して人々に笑顔を』というミッションのもと、クラウドソーシングサービス「クラウドワークス」を運営している株式会社クラウドワークス。この1年で組織の規模も急拡大しているようで、田中さんは「1年前の従業員数が40名ほどだったので、今年で100名近く増えました」と言います。

インターネットサービスを手がけている企業ということもあり、エンジニアの社員が大多数を占めているかと思いきや、実はそうでもないそう。クラウドワークスは女性社員もこの1年で増えていて、現在30名ほどの人数に。育休を取得している社員も1名おり、自身も8月には産休を取得予定だという。

この1年で組織に劇的な変化が起こっているクラウドワークスは、より社員が働きやすくなるよう環境整備に力を入れていると田中氏は言います。

「上場したタイミングではエンジニアが4名〜5名ほどしかいなかったのですが、そこから大企業出身や新卒など様々なバックグラウンドを持つ人が入ってきたんです。例えば、大企業出身の人はルールがあることを求めると思うのですが、そのときの弊社にはルールがない。だからこそ、採用したい人がいたら、その人のためにその場でルールを作るようにしていましたね」(田中氏)

また、クラウドワークスは働き方の新しい可能性を見出すためにも、今年から全社的にリモートワークの推奨に挑戦していくそう。「うまく機能するのか?」「オフィスにいる人とコミュニケーションできるのか?」様々な不安はあるようですが、今後10年でリモートワークが当たり前になるという考えから、現在はルールづくりを行っているとのこと。

「これから、リモートワークをすることが新しいビジネススキルになればいいと思っています」と語る田中氏。優秀な人材がパフォーマンスを発揮し続けられる環境づくりは、これから加速していきそうです。

長期にわたって女性が活躍し続けられるような制度を策定「Woman&Crowd(サイバーエージェントグループ)」

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Woman&Crowd代表取締役社長 石田 裕子 氏

女性向けクラウドソーシングサービス「Woman&Crowd(ウーマンクラウド)」を運営しているサイバーエージェントグループの株式会社 Woman&Crowdの石田氏によると、現在サイバーエージェントには3500人の従業員がおり、男女比は7:3で男性が多いとのこと。

とはいえ、一般的にはサイバーエージェントと聞くと「仕事を頑張っている女性が多い」というイメージを持っている人も多いと思います。実際、サイバーエージェントでは産休・育休からの復職率は96%を記録しており、ほとんど全ての女性が仕事に戻ってくるそう。

そんな女性の働きやすさを裏で支えているのが、2014年に策定された女性支援の制度「macalon(マカロン)パッケージ」。“ママ(mama)がサイバーエージェント(CA)で長く(long)働く”の頭文字をとり、長期にわたって女性が活躍し続けられるような制度となっています。具体的な内容は下記の通り。

1. エフ休: 女性特有の体調不良の際に、月1回取得できる特別休暇
2.妊活休暇: 不妊治療中の女性社員が通院等を目的に、月1回まで取得可能な特別休暇
3. 妊活コンシェル: 妊活に興味がある社員や、将来の妊娠に不安がある社員が、専門家に月1回30分の個別カウンセリングで相談できる制度
4.キッズ在宅: 子どもの急な発病や登園禁止期間など、子どもの看護時に在宅勤務できる制度
5.キッズデイ休暇: 子どもの入園・入学式や親子遠足、参観日といった学校行事や記念日に取得できる特別休暇

「実は、このmacalon(マカロン)パッケージが出来るまでは女性の働きやすさを支援する制度があまりなく、人事制度よりもカルチャーづくりを大事にしていたんです。ただ、ライフイベントに直面する女性社員が増えてきたので、新しく人事制度を作ることにしました。中でもエフ休の取得率は高く、月間平均270件程度の利用があります。」(石田氏)

macalon(マカロン)パッケージがこれだけの取得率を誇っているのには理由があり、制度を使う側の人が「戻っても働きたい」、そして現場側も「ぜひ戻ってきてほしい」というように双方の理解、期待感がセットになって、カルチャーの上に乗っかっているからこそ利用者が多いそう。

また、サイバーエージェントでは策定した制度が本来の目的に沿った形で使われているか、まずはトライアルで始め、仮に変な使い方をされていたら無くすという運用をしているといいます。失敗事例も多くあるそうですが、こういった運用を行っているからこそ多くの人が使う制度になっているのです。

今後の課題として石田氏は、こう口にします。

「これからは多様なロールモデルを作っていくことが一つのテーマになっていくかなと思っています。私は産後2ヶ月で復帰していて、周りの人から真似したくない、真似できないと思われている。代表の藤田からも『後に続く後輩が委縮するから、もう少し休んでくれ』って言われたほどなので(笑)。誰もが長期で働けるような制度や風土を作り、より多くの女性がイキイキと働ける環境を作っていきたいです」(石田氏)

まずは躊躇せず、試してみればいい。その思いがダイバーシティを推進する第一歩になる

イベントの最後では、登壇者から今後ダイバーシティを推進していく考えの企業に向けてメッセージが発信された。

「制度を作るにあたって不安もあると思いますが、チャレンジする思い切りの良さが何より重要です。もちろん、各企業、カルチャーや風土はバラバラだと思うので、色々な情報をもとに、どのようにオリジナルな制度・従業員に浸透し使われる制度を作っていくべきか。これを考えていくことが大切になります」(石田氏)

「何か一つ変えると、どこかに必ず歪みが生まれるような感じになってしまう。それは仕方がないことなのですが、そこで立ち止まってしまうのは良くない。『こういう未来になっていたら良い』と思うことを自分自身が先取りしていく。大切なのは躊躇しないことです。私は、もっと仕事に個人的な事情を入れていいと思っていますし、仕事に対してわがままになっても良いと思っています。そういう雰囲気や仕組みを今後作っていけたらいいですね」(田中氏)

「前職で私が育休を取得してから後輩が5人くらい育休をとっているんです。前職も育休はとりやすい環境にあったのですが、最近は特に多くの社員が取得しているように見えています。小さなことかもしれませんが、起こしたアクションが誰かの「第一歩」に繋がるのを実感しています。また彼らが発信しているのもよく目にします。自分が経験した育休の話を周りにしていくことで育休が取得しやすい環境が出来上がっていくのではないでしょうか」(石黒氏)

ダイバーシティの重要性は数年前から説かれており、多くの企業が社員の働きやすさをサポートする制度の策定に乗りだそうとするものの、不安や迷いから一歩踏み出すことを恐れてしまいがちです。

ただ、今回のイベントに登壇した3名に共通していたのは、まずは何事もやってみること。もちろん、失敗することもあるでしょうが、大切なのはそこから何を学ぶか。自社のカルチャーにマッチしそうな制度を考え、まずは試してみることがダイバーシティ経営の第一歩となるのではないでしょうか?

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