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クールジャパン関係ないっす!プレイヤー&編集者&コンサルのコスプレサミット日本代表は凄かった

2016.09.05

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photo by seek α

衣装の材料費は20万円超え。重さは15kg。どんなドレスかと思えばドレスにあらず。その衣装とは、コスプレの衣装だというのだ。

しかも手作り。1か月がかりで作るコスプレ衣装もあるという。

大掛かりで大変な衣装作りの情熱を支えるのは、アニメや漫画、ゲームに登場するキャラクターへの深い愛。日本のオタク文化の代名詞となったクールジャパンなんて、あまり関係ないという。

日本のコスプレ界でも名を知られるコスプレイヤーであるマヒオさん。世界コスプレサミット日本代表にもなった第一人者であり、日本最大のコスプレイヤー向け雑誌『COSPLAYMODE』(旧『COSMODE』)の副編集長を務め、コスプレコンサルまでも行っているというトリプルな活動を続ける女性だ。

コスプレ界における、3つの顔。そこから見えた自分らしい働き方を余すところなく伺ってみた。

就職活動がしんどくて、現実逃避でコスプレの道へ

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— コスプレの変身ぶりが凄いですね!

マヒオ:ですよねー。世界コスプレサミット日本代表として、衣装もメイクも気合入ってますから(笑)。

— コスプレを始めたきっかけは何ですか?

マヒオ:大学生の時、就職活動が辛くて辛くて。そこからの現実逃避で始めたのがコスプレです(笑)。就職活動をサボって、コミケに行ってみたら「世の中にはコスプレイヤーがこんなに多いのか」と驚いちゃって。これ、私もやれるんじゃないか、とふと思ったんです。

その翌日には、ユニクロの服を改造してコスプレ衣装を作り始めてました。それ以来12年。コスプレ道をずっと歩んでます。

— どっぷりハマったということは、最初から楽しかったんですね?

マヒオ:そうですね。コスプレを始めたばかりの頃は、コスプレイベントの後にみんなでご飯行こうよって誘ってもらうのがすごく嬉しかったかな。

年齢も職業も、出身地もバラバラな人達が、好きな漫画とかアニメ、そしてコスプレをしてるってただ1点だけで繋がってるんです。居酒屋でそれこそ5時間も6時間もずーっと大好きなキャラクターの話だけで盛り上がり続けます。

「これ、なんて楽しいんだ!」と思いましたね。コスプレってコミュニケーション手段でもあるんですよ。

コスプレ誌の出版社と知らず、アルバイトとして入社

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— そうして、コスプレにはまったマヒオさんが、コスプレ誌の編集になったきっかけは?

マヒオ:学生の時、バイトで編集をやってみようとふと思って、門をたたいたのが偶然にもコスプレ専門誌『COSMODE』(現『COSPLAYMODE』)を出していた出版社でした。でも、コスプレとは全然違う編集部で、Photoshopで画像処理の仕事をしていたんです。

— 偶然?

マヒオ:『COSMODE』はコスプレイヤーなら誰もが知ってます。もちろん私も読んでました。でも『COSMODE』を出している出版社だとは知らずにバイトをはじめちゃって…。

— マヒオさん、まさかの天然系ですか(笑)。

マヒオ:そんなはずはないんですけど(笑)。結局、アルバイトが休みの日にコミケでコスプレをしていたら、偶然『COSMODE』の取材を受けたことをきっかけに、『COSMODE』編集部に部署移動して社員になりました。

— 社内の人間がコスプレをしていたと知った取材班の驚きが目に浮かびます(笑)。

クールジャパンのおかげで日陰の存在を脱したコスプレイヤー。でもそれ、重要じゃない!

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— その後、コスプレイヤーとコスプレ誌の編集者として、クールジャパンの先頭を走り始めたわけですね!

マヒオ:クールジャパンといってコスプレが持ち上げられるのは今でこそです。もちろん、アニメや漫画に対して柔軟な考えの方は「面白そうじゃん、もっと前に出ればいいのに」って言ってくれます。だけど、アニメや漫画がよく分からない人だと「なにこの格好」っていう印象です。10年くらい前は今よりずっと風当たりは強かったんですね。

だから、自分の世界に外部の人間が土足で踏み入って来られることをものすごく怖がってるコスプレイヤーが多いんです。

— マヒオさんもそうなんですか?

マヒオ:いえ。私は特に気にしておらず、人から「コスプレしてるのか」と聞かれたら「やってますよ」とさっぱり答えちゃってました。この趣味に、それなりの誇りを持っていたのでしょうね。

— コスプレイヤーとしてもコスプレ誌編集者としても?

マヒオ:そうあって欲しいなと願ってました。ただ、編集者としては、だからこそコスプレを取り巻く環境を変えていきたいなと思ったんです。

— そうした環境が変わり始めて、マヒオさんも出場した世界コスプレサミットも始まったんですね。

マヒオ:そうですね。10年でずいぶん変わりました。コスプレイヤーのためにウィッグや衣装を作って売る店も現れてコスプレ市場が少しずつできてきて。

— 全然変わってきた!

マヒオ:コスプレイヤーたちもようやく、自分たちって外に出ても叩かれない?と思い始めています。山に棲むアライグマが、街に出ても自分は撃ち殺されたりしないかも、と感じ始めたわけです(笑)。

— 認められたかった世界がついにやってきたんですね!

マヒオ:ええ、でもコスプレの本質はファン活動の一環です。大好きな漫画やアニメのキャラへの愛情表現をしたい、その世界観を表現したいっていう、自分なりの「好き」を表現する手段としてのコスプレが本質なんです。

— クールジャパンの流れも後押ししたのでは?

マヒオ:いえ、クールジャパンのおかげで認められてよかった、というのはコスプレイヤーの気分的には重要ではないかもしれません。「クールジャパン?関係ないっす」みたいな(笑)。

— そういう考察をするようになったのもやっぱり『COSMODE』の編集者として雑誌を作りながら、コスプレイヤーとしても活動していたからこそ?

マヒオ:そうですね。強く思うようになったのは。多分趣味のコスプレ活動だけだったらここまで考える必要もなかったでしょうから。

コスプレコンサルという仕事。縁遠い企業とコスプレイヤーをつなぐのも自分の役目

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— コスプレコンサルのお仕事もなさっているそうですね。コスプレコンサルって何をするんですか?

マヒオ:一つには、コスプレイヤー向けの広告戦略や商品開発の相談を受けています。一般企業は、コスプレについて右も左もわからない状態ですよね。そういう時に、相談が来るわけです。

— ビジネスチャンスですね!

マヒオ:コスプレイヤー向けの広告戦略ならば、ウェブ上にこんな風に広告出したいんだけど、コスプレイヤーさんの人たちは見るだろうかとか。商品開発だと、どういう商品だったらコスプレイヤーは買うだろうかって相談されます。

— 広告や商品開発以外の相談もあるんですか?

マヒオ:いろいろあります。東京ゲームショウとか、アニメイベントのAnime Japanといったコンテンツホルダーが出展をするイベントに新規参入したいという企業からの相談です。そうしたイベントのコンパニオンとして、コスプレイヤーを起用したいという内容が主な相談案件ですね。

— 企業とコスプレイヤーの間を取り持ってるのですか!編集者・コスプレイヤー・コスプレコンサル、3つの顔がマヒオさんにはあるんですね。

不健康万歳の自分が健康雑誌の編集者に。振り幅を広げて収束させたらもっと面白くなる!

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— 自分らしくいろんな活動を働いてらっしゃると思うんですけども、そのために心がけてきたこと。あるいは大切にしてることってなんでしょう?

マヒオ:まさに模索真っ最中です(笑)。

『COSMODE』が『COSPLAYMODE』に名前を変えてしばらくしてから、副編集長の座を降りたんです。現在は、ある健康雑誌の編集者をやっています。

— コ、コスプレ雑誌から健康雑誌へ転身ですか!?

マヒオ:あえて、今までと全く違うジャンルの雑誌に関わってみたいという意識が芽生えたんです。

読者層としては、10〜20代女性・アニメや漫画にまつわるコスプレ雑誌っていうジャンルの真逆ですよね。40代女性・健康っていうジャンルですから(笑)。自分はどんなふうに編集者として可能性を広げられるかを試してみたいという気持ちもありました。

— 今後の夢みたいなものは何でしょうか?

マヒオ:コスプレイヤーとして、大きい舞台でパフォーマンスをしたいです。舞台上でしかできない表現を、自分が一番やりたいと思うキャラクターで、一番こういう風にしたいと思った表現でパフォーマンスをするんです。編集者としては、編集者としての可能性をどんどん広げ続けたい。

どちらのわたしも、作って、表現して、人に発信していきたい。自分のライフワークは表現と発信なんだなと思います。

— とことん、クリエイターですね!いろんな表現に挑戦していくと自由な働き方が見えてきますか?

マヒオ:そうですね。ただ、編集者としての仕事は自由というよりフラットでいきたいなと思ってます。

— フラットとは?

マヒオ:偏らないことです。コスプレのほうは偏りまくって自分の好きなものだけで固めていこうと思っています。例えるなら、白と赤がある。プライベートは大好きな赤だけを極める、という感じ。だから、コスプレは美少年系など、自分が好きで、やりたい!作りたい!と思ったキャラクターしかやりません。

— そこは譲れないのですね。

マヒオ:でも雑誌づくりでは、赤もいいけど、白にはこういう魅力があるんだよね、と考えていきたい。白の魅力も理解できる編集者でいたいなと思ってます。

–コスプレはとことん狭く深く、編集はとことん広く、柔軟に。そんなイメージでしょうか。

マヒオ:そうですね。今までは正直興味がなかった、健康こそ人生を豊かにすると考える人たちのことを素敵だなと思えるようになりたいんです。

でも、正直言って自分は不健康最高と思ってます。体に悪いことも、心に悪いことも今でも大好きですし(笑)。

— 意に反して、自分の興味外の仕事を振られるビジネスパーソンからすると、マヒオさんの考え方は新鮮です!

マヒオ:そうなんですね。でも、振り幅を大きく広げたあとに、一つに収束してドンってやると、きっと面白い爆発が起こりますよ。

— 爆発するんですか(笑)。

マヒオ:自分の興味関心にがんじがらめになっちゃうと動けなくなるじゃないですか。だったら、大きく広がるビックバンをバーンって起こしちゃいたい派なんです、わたしは。

そうすれば、次はもっともっと面白くなりそうなので。

— 期待大ですね!表現者の道を突き進むマヒオさんが、あえて自分と全然異なる世界に飛び込む姿が新鮮です。わたしも食わず嫌いをやめて幅を広げていこうと思います。本日はありがとうございました!

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