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「恐怖や安心からは何も生まれない。重要なのはワクワクできるかどうか」ーBlue Bottle CoffeeのCOO兼CFO、デイビット・ボウマン氏のキャリア論【前編】

2016.05.23

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“サードウェーブコーヒー”ブームの火付け役として知られ、”青いボトル”のロゴも今ではすっかりお馴染みとなった大人気コーヒーショップ「Blue Bottle Coffee(ブルーボトルコーヒー)」。現在はサンフランシスコ、ニューヨーク、 ロサンゼルス、東京の 4 都市圏で 25 店舗を展開し、多くの人から愛されている。

日本では2015年2月に第1号店を清澄白河にオープン。その人気ぶりは年々増していくばかりで、1年も経たないうちに青山カフェ、新宿カフェをオープンし、2016年下期には六本木カフェ(仮)をオープンする予定という。

まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を続ける「ブルーボトルコーヒー」。今回、WorkSwitch編集部はイベントのために来日中だったBlue Bottle Coffee COO 兼CFOのデイビット・ボウマン(David Bowman)氏に特別にインタビューする機会を設けて頂けた。日本ではあまり知られていないブルーボトルコーヒーのCOO兼CFOを務める男の素顔とは?これまで歩んできた、その半生を紐解いていく。

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【プロフィール】
ボストンコンサルティンググループにて、主に小売や消費者向けのパッケージ商品の業界のプロジェクトリーダーとして活躍したのち、ブルーボトルコーヒーに入社。ブルーボトルコーヒーの3つの事業(店舗、EC、RTD=Ready to Drink)についての運営責任者であると共に、製造、サプライチェーンや財務等についての業務を統括している。バージニア大学にて生化学で学士号、スタンフォード大学にてMBAを取得。

自分が夢中になれるものは”化学の実験”ではなく組織のマネジメント。大学に入って分かった、自分が本当にやりたかったこと

— 今日はよろしくお願い致します。経歴を拝見させていただいたのですが、新卒はボストンコンサルティンググループへ入社。学生時代に生化学で学士号を取得されたと思うのですが、なぜコンサルという道を歩もうと思ったのでしょうか?

デイビッド:実は私の母親が医者ということもあり、幼い頃から理科の実験をすることがすごく好きだったんです。だから、バイオケミストリーという学問を学ぶ道を歩むことは僕にとって、すごく自然な選択で。当時の夢は医者になることだったので、バージニア大学で生化学を学ぶ道を歩むことにしました。

入学後は夢の実現に向けて熱心に生化学の勉強を続けていたのですが、大学生活のほとんどの時間を実験室や病院で時間を過ごしているうちに、ふと、「これは自分の人生を懸けてやるべきことではない」と思ったので、これまでとは違った道を歩むことを決めました。

— これまでとは違った道ですか。

デイビット:キャリアチェンジをするにあたって、自分が夢中になれることは何か、色々考えてみたんです。その結果、自分が心から楽しいと思えるのは組織を引っ張っていく経験だったなと。

元々、学生時代に約1,000〜2,000人くらいの学生が所属するサークルを主催し、マネジメントなどを行っていたんです。それがすごく楽しくて。その理由を自分なりに考えてみたら、組織をマネジメントし、正しい方向に導くことが自分の喜びになっていることが分かったので、その経験が活かせる職業に就こうと思いました。

それで色々と仕事を見ていたら、ビジネスをマネジメントするという観点でコンサルティングが自分にぴったりな職業だと気づきました。そして、「まずは組織を大きくすることを学びたい」という思いが強く、そのための入り口として、コンサルタントになる道を選びました。

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— 実際に入社してみていかがでした?入社する前のイメージと違う部分などありましたか?

デイビット:入社前後でイメージはすごく変わったと思っています。22歳という年齢で大学を卒業し、新卒としてボストンコンサルティンググループに入社したのですが、正直、コンサルタントをずっとやり続けていく考えはありませんでした。

ただ、自分が抽出したデータをもとに、企業の意思決定をサポートしていく場に立ち会ったことは自分の人生が変わる良い経験でしたし、その経験が今の仕事にも活きていると思っています。

コンサルティングの仕事で感じた違和感。ボストンコンサルティンググループ退職後はスタンフォード大学でMBAを取得することに

— ブルーボトルコーヒーとの出会いは何がきっかけだったのでしょうか?

デイビット:約5年間、ボストンコンサルティンググループで働いていたのですが、コンサルティングの仕事は「この先、10年続けてもいいな」と思えるくらい充実していました。ただ、同時にちょっとした違和感も覚えていて。

— ちょっとした違和感ですか。

デイビット:自分が捧げている時間や仕事は全て誰かの会社のためであって、自分の会社のためではない。働き続ける中で、そこが変わっていけばいいなという思いはありました。

そのあと、ボストンコンサルティンググループを辞める決断をするのですが、その先のことは決まっておらず。働く中で感じた違和感を解消するには、自分が起業すればいいのか、それとも企業に入るべきなのか色々と考えていたのですが、その問いに対する結論が出せずにいたので、ひとまず自分の経営に対するコミットメントをさらに高めるべく、スタンフォード大学でMBAを取得することにしました。ブルーボトルコーヒーとの出会いは、その後です。

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フェリービルディングにあるブルーボトルコーヒー

デイビット:スタンフォード大学に入学する前、初めてサンフランシスコのフェリービルディングにあるブルーボトルコーヒーを訪れたんです。元々、コーヒー自体はすごく好きだったのですが、そこで飲んだコーヒーの味に衝撃を受けました。「こんなに美味しいコーヒーがあるのか」そう思うくらい記憶に残った一杯でした。それは今でも覚えています。当時はまだ創業者のジェームス・フリーマンのことも知らなかったですし、ブルーボトルコーヒーが美味しい理由も知らずにいました。

大学の教授が引き合わせた運命的な出会い。ブルーボトルコーヒーの仕事は僕の心をワクワクさせるものだった

— その後、なぜブルーボトルコーヒーで働こうと思ったのでしょうか?

デイビット:スタンフォード大学で2年間勉強し、MBAを取得することができたのですが、卒業するタイミングでは、まだ何をするか決まってなくて。ベイエリアの大学を卒業すると、一般的にはテック系の企業をスタートアップするのが常なので、自分もその選択をするのかなと思っていたのですが、結局決めきれずに卒業してしまいました。

とはいえ、焦って次の道を決める必要もないので、3ヶ月くらい時間を使って次に入る会社を選ぼうと思っていたら、その2週間後、お世話になった大学の先生から連絡をいただいて。そのときに紹介してもらった人がブルーボトルコーヒーのエグゼクティヴ・チェアマンを務める、ブライアン・ミーハンという人物だったんです。

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デイビット:当時、彼はジェームス・フリーマンが創業したブルーボトルコーヒーに投資をするタイミングでした。

会社自体は2002年に創業しているので、創業から約10年ほど経過していたのですが、今後会社として成長していくための様々な問題や困難に直面しては解決していく。そういったことを繰り返している時期に、ブライアン・ミーハンから「ブルーボトルコーヒーに入らないか?」と声をかけていただき、「今は大変かもしれないけど、この後、何かしら素晴らしいことが起こるのではないか」そんな期待もあったので入社を決めることにしました。

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スタンフォード大学の壁に飾られているナイキの創業者 フィル・ナイトの言葉

— コンサルティング会社とは全く違う分野。飛び込む際に恐怖心はなかったんでしょうか?

デイビット:これはスタンフォード大学の壁に飾ってある置物なのですが、ナイキの創業者であるフィル・ナイトの言葉が書いてあり、この言葉は今でも心に残っているので、紹介したいと思います。

「過去に色んな経験を積んできたからこそ、今がある。これから新たな扉が開くタイミングで自分の過去を見る人もいれば、何も決まっていない未来を向く人もいる。そのどっちが正しいかは分からないけれど、前を見ている方が楽しいんじゃないか」

簡単に説明すると、このような意味です。自分はこの考えにすごく共感しています。多くの人はどうしても安全で安定した道を歩もうとしてしまいがちですが、僕は自分の心がワクワクする道を歩みたい。もちろん、その決断をするにあたって怖さがなかったといえば嘘になりますが、その道を信じ続れば小さな迷いや恐怖は全て取り除かれる。自分はそう思ったので、今回の決断をしました。

この気持ちは、ジェームスがブルーボトルコーヒーを創業したときと同じかもしれません。何より大切なのは自分が居たい未来を思い描けるかどうか、自分が居たい未来を描けているなら、チャレンジする勇気を持てばその未来に行けるはず。逆に、恐怖や安心という感情からは、何も生まれないと僕は思っています。

(つづく)

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