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自転車日本一周・ユーラシア大陸輪行旅行、そこからライター歴2年で本を出せた理由

2016.05.30

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初めまして、このたび、WorkSwitchへ寄稿することになりましたライターの鈴木雅矩(スズキガク)です。

私は、フリーランスのライター・編集者として働きだして2年目ですが、過去の経歴が少しだけ変わっています。時系列順にご紹介すると……。

・美術大学の彫刻コースを卒業
・趣味で自転車に乗っていたわけではないのに、北海道から沖縄まで自転車で日本一周
・京都の自転車屋でスタッフとして勤務
・ユーラシア大陸横断旅行をする際に、ライター歴が無いのに出版社や企業に企画を持ち込んで、雑誌連載やスポンサーを獲得
・未経験からフリーのライター・編集者になり2年目
・今年5月28日に著書「京都の小商い 〜就職しない生き方ガイド〜(三栄書房)」を出版

世の中には私よりもよっぽど数奇な人生を歩まれている方がいらっしゃいますから、私の経歴はただフラフラしているようなものですが、今回は、私がなぜライター未経験から著書を出せるまでに至ったのかをご紹介しようと思います。

モラトリアムの延長で自転車日本一周に出発

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私が大学を卒業したのは2009年。2007年に起きたリーマンショックの余波はありましたが、景気も少し落ち着いて、就職もしやすい時期でした。周りでは新卒生として就職する同級生も多かったのですが、私が選んだのは自転車で日本一周するという選択でした。

なぜその選択をしたかと言いますと、ひとことで言えば「モラトリアムの延長」だったのだと思います。在学中から就職活動はしていましたが、通っていたのが美術大学ということもあり、卒業後は定職に就かず創作活動を続ける先輩方も多くいたため、「昔から好きだった沢木耕太郎さんや椎名誠さんなどが本で書いた国外の世界をこの目で実際に見てまわりたい。でもその前に日本のことをきちんと知っておきたい」という理由で自転車旅行に出たのです。

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旅行に出る前は、趣味で自転車に乗っていたわけでもなく、長距離を走ったこともない状態でしたが、自転車旅行は1年半に及び、様々な場所で路銀を稼ぎながら、北海道から沖縄まで1万km以上の距離を走ることができました。

この時に、「ペダルを踏む重ねるように、地道に行動を重ねていけば、目的地にはたどり着ける」という自信を得た気がします。また、昔から読んでいた紀行文への憧れが大きかったのか、日本一周中も、「ライターになりたい、いつか本を出したい」ということは、ことあるごとに周りの方々へ話していました。

当たって砕けろ!スポンサードを求めて、企業・出版社に持ち込みを開始

自転車旅行を終えた後、私は旅行中のご縁から、京都の自転車屋さんで2年ほど働くことになり、次の目標にしていた海外長期旅行に向けて、自転車の販売や修理に励んでいました。

海外旅行に出発したのは2012年の6月。先ほどお話ししたスポンサーや雑誌連載の企画持ち込みは、その年の1月ごろから行っていました。なぜ持ち込みをしたかというと、周りの同級生が社会人3年目に突入する中で実績を重ねる中で、自分にも何か実績と呼べるものが欲しいと感じたのです。自転車で日本を一周しても、このまま長期間海外に行って帰ってきても、そんな経歴は仕事には結びつかない。だから、帰国後に人生の自由度を高められる実績を作りたい。それなら憧れていたライターの仕事がいい。そう考えて、企画の持ち込みを始めたのです。

この時はまだ、ライターとしての執筆経験も、企画の持ち込み経験もなかったのですが、はあちゅうさんこと、伊藤春香が書いた「わたしは、なぜタダで70日間世界一周できたのか?」という本を読みながら、企画書を書き、友人に添削してもらい、冷や汗をかきながら企業にメールを送りました。

その中で運良くお返事が来て、スポンサーになってくださったのが2社、雑誌の連載をさせていただくことになった季刊誌が1誌。スポンサーさんからは自転車や衣服を提供していただきました。この時のスポンサーサイトのブログ更新や記事執筆が、私のライターとしての初仕事になりました。

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この経験から、「経験がなくても、相手が面白がってくれれば、仕事になる」ということを学びました。やりたいことがあれば、相手が面白がってくれる材料をできるだけ提供する。料理人がそうであるように、調理する「腕(技術)」と同じくらい重要なのが「素材(ネタ)」です。僕はライターとしての腕はありませんでしたが、ネタをひねり出してスポンサードを得ることができました。

後にコネクションがない状態で上京してフリーライターとして働き始める時に、この経験はプラスに働きました。

未経験からのスタート、上京して本格的にライターに

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折りたたみ自転車を持って世界中をサイクリングするという趣旨で、中国の上海からスタートした旅行は、ネパール、チベット、インド、トルコやヨーロッパ12カ国、モロッコやエジプト、イスラエルなど、20カ国を旅した旅行を終え、日本に帰国した私は地元で1年間NPOの職員として働くことになります。この頃も、ライターになりたいという思いはくすぶっていて、東京に拠点を置くウェブサイトに記事を寄稿していたりしました。

フリーのライター・編集者として働き出したのは2014年の6月。この時は、ライターや編集者としての経験やコネクションもありませんでしたが、勢いで上京し、月に光熱費込みで4万円の男子寮のようなシェアハウスに転がり込んで仕事を探し始めます。

このタイミングで、地元でNPO職員として働いているときに記事を寄稿していたウェブサイトがたまたま編集アシスタントを募集していたり、編集プロダクションを経営している方と出会えたりしながら、ここでも運良く仕事の実績を積み重ねることができました。

最初は1記事数千円の記事を書き続け、プロフィール入りの署名記事を書けるようになり、次第にコネクションも増え、現在は様々な会社から取材記事や報酬の大きい仕事の依頼をいただくようになりました。またライターの勉強になるからと並行して続けていた編集の仕事は、メディアの副編集長という肩書きを与えてもらい、メディアが出版する書籍の取材・執筆を本1冊分任されるようにもなりました。

この時の書籍の編集者さんとの打ち上げの席で話したアイデアが形になり、編集部に企画を通してみようか、という話が実ったのが、5月28日に出版された初の著書「京都の小商い 〜就職しない生き方ガイド〜(三栄書房)」です。

この本は、「どのような働き方が幸せで、納得できて、長く続けていけるのか?」という問いをもとに、京都で小商い(小さな元手で、自分の納得できる範囲で、小さな規模で続ける商い)的に働いている12名の方を取材し、まとめたものです。

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取材先は、25歳で銭湯「サウナの梅湯」を受け継ぎ営業している湊三次郎さんや、工房付きのシェアハウス「REDIY」のほか京都に10棟のシェアハウスを運営する株式会社めいの代表、扇沢友樹さんをはじめ、染色家や骨董屋さん、京都で初めて古民家カフェを開いたカフェのオーナーなど、バラエティ豊かな人にお話を聞くことができました。

今際の際に「楽しかった」というために

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ここまで自分の反省を振り返ってみると、その根底には「最初は経験がなくても、やっているうちに技術が身につき、実績も仕事もあとから付いてくる」という価値観があったことに気づきます。最初は報酬が低くても、その場所で経験を積んで、技術を磨くこと、そして常に人とのつながりを求めること。それを続けていくことで、僕の道は開けてきました。

今まで、地道に行動をしたり、やりたいことは人に言うようにしてきましたが、運が良かったという要素も大きいと思うので、あまり再現性はないキャリアの積み方だと思うのですが、これを読む誰かのご参考になれれば幸いです。

以上、偉そうなことを話してしまいましたが、私はまだまだペーペーのライター・編集者です。ライターという仕事にやりがいを感じ、これからも続けていきたいという思いの一方で、また海外を旅してみたいという思いや、好きな京都と東京で二拠点居住をしてみたいという思いも持っています。

人生は選択の連続と言いますが、目標を掲げても、選択をしても、思いもよらない出来事でそれがまるまる変わってしまうこともよくあることです。しかし、選択をすれば、自分が選んだことだと納得することができます。きれいごとに聞こえるかもしれませんが、私は今際の際に「いろいろあったけど楽しかった」と言って死ぬのが目標です。最後にそう言って死ぬために、これからも選択と行動を重ねていきたいと思います。

【文・鈴木雅矩(スズキガク)】

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