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たった2つの行動で日本の未来が開ける。エイジフリーの働き方と労働力の流動化!

2016.09.12

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中部圏社会経済研究所の島澤 諭(しまさわ まなぶ)です。

日々働く中で、皆さんが不満に感じることがいろいろあるかと思います。

例えば、お年寄りは年金をもらっている。医療費も安い。なのに、働く自分たちは年金保険料も健康保険料も給料から天引きされ、さらに長時間労働にサービス残業でもう毎日、クタクタ。

こうした世代間の不公平感や労働環境への不満は、どうすれば解消されるのでしょうか。

そのヒントとなるのが、年齢に関係なく働く「エイジフリーの働き方」と、自由に職場を変えられるようにする「労働力の流動化」です。ここでは、なぜこのふたつのキーワードを実現することが問題解決につながるのか解説していきましょう。

働き方を変えれば、日本の未来は変わるのです!

島澤 諭 (しまさわ まなぶ)
中部圏社会経済研究所経済分析応用チームリーダー。東京大学経済学部卒。1994年、旧経済企画庁入庁(現内閣府)。2004年、秋田大学准教授。2015年から現職。近著に「自分の半径5mから日本の未来と働き方を考えてみよう会議」(SBクリエイティブ)。

年をとっても働き続けるエイジフリーは嫌?いえ、年齢で働き方を制限される方がよほど大変!

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現在の日本の社会保障や、日本人の働き方を見ると、いろいろな課題があります。

まず、世代間の不公平感にまつわる社会保障の課題。年金は、支給開始の基準が年齢となっています。したがってバリバリ仕事をこなして収入を得て生活に困っていなくても、年金の支給開始年齢になると年金が支給されるわけです。若者からみるとそこに不公平感を感じてしまいます。

次に、世代間の不公平感に関する日本人の働き方の課題はどうでしょうか。年功序列によって、生産性が低く意欲が低くても年齢が上がると給与は上がります。20代や30代にとっては「不公平」と感じることでしょう。逆に、定年制が存在するばかりに、意欲がありまだ十分働ける人を「定年」という形で強制的に引退させています。これは、60代にとっての「不公平感」になります。

私が念頭に置くエイジフリーな社会保障や働き方とは、こうした課題を解決するものです。医療などの社会保障は年齢にかかわらず、困っている人に集中させる。そして定年制を廃止して、高齢者でも働きたい人はずっと働けるという至極当たり前の仕組みのことです。

高齢になっても、ずっと働く社会というと「大変そう」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、年齢で一律に働き方を制限し、年金受給者としての生活を強要している現在のほうが、ずっと大変な事態を生んでいるのです。

エイジフリーで働くことが健康寿命を延ばす!10年前後の介護期間を短くする方法

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年金受給者としての生活を高齢者に強要するのがなぜ大変な事態を生むのかを考えてみます。重要なのは、数字・ファクト・ロジックの3側面からアプローチすることです。

まず、数字。寝たきりなどにならず通常の生活を健康にすごせる期間の寿命を示す「健康寿命」と、寝たきりなどの期間も含む通常の「平均寿命」で比較します。厚生労働省によると、2013年の日本人の健康寿命(健康の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)は男性が71.11歳、女性は75.56歳。2014年の平均寿命は男性80.50歳、女性86.83歳となっています。

次にファクトを見ると、平均寿命から健康寿命との差(男性約9年、女性約12年)は、健康に何らかの問題をかかえていて介護などが必要となる期間となります。10年前後も介護期間があるのは、介護する側もされる側も高齢なので大変ですね。

健康寿命を延ばす方法として医師が推奨するのは「働くこと」とされます。仕事で、体や頭を使い続けることに効果があるわけです。したがって、年金受給者としての生活を強いる定年制を廃止して、高齢になっても体力や気力に応じて働くことができれば、自ずと健康寿命は延び、介護期間はぐっと短くすることができます。これが、数字とファクトから導き出したロジックです。

このように、定年を廃止してエイジフリーで働ける社会を創ることが、働く人にとってもより良い社会に繋がるのです。

上司より早く帰る部下は怠け者!?生産性が向上されないのは、長時間労働を生んだ昭和的価値観にある

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次に「長時間労働やサービス残業」の問題を解決するには、労働力の流動化を考えることが必要になってきます。

ヒト・モノ・カネが国境を超えて自由に動くグローバル化が進行する中で、経済のみならず文化や企業、そこで働く労働者の在り方も急激にフラットになってきています。

しかし、周りを見渡してみると、現実はまだ「日本ならではの価値観」が多くの日本人を支える尺度になっているようです。例えば、現在の日本経済で懸念される事の一つに「人手不足」があります。その解決策として挙げられるのが、労働生産性の向上です。しかし、政府も様々な施策を行ってはいるものの、残念ながら生産性は一向に改善していません。

労働生産性が世界水準に追いつけないのは、「上司より早く帰る部下は怠け者」「長く働くことは良いことだ」といった高度成長期につくられた昭和的価値観が、労働生産性よりも優先されていることが影響している気がします。

自由に職場を変えられる働き方ができれば、長時間労働もサービス残業も減っていく!

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そうした「長く働くことは良いことだ」という昭和的価値観に基づいた働き方から脱する方法が、自由に職場を移動する「労働力の流動化」なのです。

労働力の流動化が必要な理由についても、「数字・ファクト・ロジック」で考えてみましょう。

「数字」と「ファクト」としては、政府債務の金額とそれに対応した社会保障制度改革を挙げることができます。日本は現在GDPの2倍、1千兆円を超える政府債務(国民に対する政府の借金)を抱えています。実は、その4割は社会保障が生み出した借金です。つまり、日本の財政問題とはすなわち社会保障の問題なのです。

そうした日本政府の借金の問題=社会保障の問題と、私たちの働き方がリンクしている「ロジック」は次のようなものです。

政府は借金を返済するために、歳出を削減するか増税(社会保険料の引き上げを含む)しようとします。増税や社会保険料の引き上げは企業の負担、特に労働コストを増加させます。企業が今後の継続的な売り上げの増加を見込めなければ、人手を減らすか、今いる労働者の生産性を引き上げて対応するしかありません。

そうなれば、働く側のわれわれは職を失わないために新しい知識を習得したり、スキルを磨いたりして労働生産性を上げる必要が出てきます。逆に、そうした能力の向上を行えない労働者は職を失うか、より条件の悪い仕事に移らざるを得なくなってしまうのです。

企業側の動きとしては、当然、労働生産性が高い人材を求めますよね。

こうした日本政府の借金の問題をきっかけとして、労働生産性を上げることが求められる結果、職場を自由に移動できる「労働力の流動化」が必要となるのです。

働く側の立場から考えると、「労働力の流動化」を行うことで労働生産性が上がり、「長時間労働やサービス残業」が減ります。働く人にとってもより良い社会が「労働力の流動化」によって実現するわけです。

エイジフリーな社会は、年齢に関係なく社会保障を受けられる!

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これまで述べてきたように、「エイジフリーの働き方」と「労働力の流動化」を実現することで私たちの不満は減り、より良い働き方ができるようになります。

でも実は、「エイジフリー」の効果は働き方だけにとどまりません。

定年制を廃止して、60代になってもエイジフリーに働き続けられるようにすれば、年齢を問わず負担できるものは負担し、困っている人は年齢を問わず必要な援助を受けられる社会が実現します。こうしたエイジフリーの財政・社会保障制度へと転換すれば、老若男女問わず安心して生活を送ることが可能となるのです。

働き方も生活もより良くなる「エイジフリー」と「労働力の流動化」へ、今まさに日本は変わっていかなければならないといえるでしょう。

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